やはり気になる

 豊崎社長による鮭児文学賞の大本命でありながら、惜しくも受賞を逃した

山尾悠子さん「飛ぶ孔雀」であります。

 この作品については、「本の雑誌」2018年ベスト10でも、鏡明さんがSFの

ベスト10のところで、この作品をあげていました。この作品への鏡さんのコメン

トであります。

「十位の『飛ぶ孔雀』は最初に決めていた。わたしにとって十位というのは

極めて重要なポジションで、これを何にするか。考えることが多いのだが、

今回はすぐに決まった。

 山尾悠子の作品はSFともファンタシイとも呼べない。幻想小説という言い方

しか出来ないだろうが、幻想というにはあまりにリアルなのだ。」 

 「リアルな幻想」ということになります。 

飛ぶ孔雀

飛ぶ孔雀

 

  昨日に目にした豊崎社長とか鏡さんが、このようにいうのでありますからして、

これはなんとかまた挑戦してみなくてはです。そう思って図書館へといってみまし

たら、この作品が貸出棚にありましたです。この日曜の北海道新聞読書欄に「親

愛なる道民の皆さん」という呼びかけで、豊崎社長がおしていたというのに、親愛

なる皆さんは、これを借りるために図書館に押しかけてはいなかったか。

 ということで、本日に当方は無事に借りることができたのでした。

「飛ぶ孔雀」の1ページ目の文字を目で追っていきますと、なんとか読むことがで

きそうに思うのですが、これのひとつひとつの言葉は理解できるのに、つながると

意味がわからなくなるという、不思議な話であります。

 こういうわけのわからない作品に、ハマる人ははまるでありましょうね。

 そう思っていたら、本日の夕刊に掲載の「回顧2018 文芸」の「私の3点」で

磯崎憲一郎さんが、この作品をあげていました。(磯崎さんの三冊は、これと、

金井美恵子さん「スター誕生」、そして保坂和志さんの「ハレルヤ」でした。)

 やはり、今年はこの作品を外しては終わることができそうにありません。

 今回の借り出しはお正月休みを含むせいもありまして、ちょっと長い三週間、

この期間で、さてどこまで行くことができるかなです。