久しぶりのブックオフ 2

 佐藤亜紀の小説を強くおしている豊崎社長は、「日本人が外国を舞台にした小説を
書くことに意味を見いださない」文壇の重鎮に対していらだっているのですが、日本
の小説家で外国を舞台にした作品を発表している人って、他にはどんな人がいたろう
かなと思いました。当方はなじみがありませんが、佐藤賢一さんも、そうしたお一人
でありました。
 当方のなじみでは辻邦生さんにも、日本人がまったく登場しない作品がありました。
彼の代表作のひとつ「背教者ユリアヌス」はそうでしょうし、連作集「生涯の七つの
場所」も半分くらいは、そうではなかったかと思います(記憶はあいまいですが)。
辻邦生さんが、この「背教者ユリアヌス」を発表した時に、江藤淳からフォニーと
いって批判されたことを思いだしました。その時には、辻邦生さんの文学上の先輩な
どが、一斉に江藤さんへの反論をしたことを思い浮かべます。
 それと較べると佐藤亜紀さんのほうは、応援態勢がうすいかもしれません。豊崎
社長のがんばりに期待をしなくてはですね。
 女性のがんばりといえば、昨日にもう一冊購入してきたのは笙野頼子さんの文庫本
でありました。先月に図書館から笙野さんの「徹底抗戦! 文士の森」という本を借り
て走り読みしていたのですが、なかなかいさましい本でありまして、この方の小説を
読んでみたいと思っていたところ、ブックオフで見つけて、ありがたく購入です。

なにもしてない (講談社文庫)

なにもしてない (講談社文庫)

 この文庫は解説が川村二郎さんで、久しぶりに川村さんの名前を目にしました。