黒川創さんによる「鶴見俊輔伝」は版元が新潮社でありますので、
これは地元の本屋に入っていても不思議ではなし、とはいっても一冊入れ
ばいいところですからして、うまく確保することができるかどうかと、市内の
本屋をめぐることに。
まずは行きつけのまちの本屋からでありますが、この店で探してみたら、
思いがけない場所に一冊ささっていて、最初の一軒目でめでたく入手する
ことができました。これで一安心であります。あとは読むだけですね。
表紙の写真は、1939年9月 17歳でハーヴァードに入学する時のものと
あります。こういう雰囲気の人とはお近づき出来そうにありませんから、これ
から何十年もかけて、鶴見さんは自分を変えていったのでありましょう。
本日はほとんどなかをのぞいていないのですが、たまたま開いたページ
にある写真をみていたら、撮影は足立巻一と記されていました。なんと、この
ようなところで足立巻一さんの名前を目にするとは。ちなみに、この写真が
撮影された頃のことを、黒川さんは、次のように記しています。
「この1952年春には、米軍による占領期が終わり、日本は曲がりなりにも
『独立』を回復する。
鶴見俊輔は、これに触れて『見事な占領の終わりに』という、短い一文を
『新大阪新聞』(同年5月16日)に寄稿する。依頼した記者は、京大担当の
足立巻一。詩人で、大渕和夫、吉川俊夫らと思想の科学大阪グループを
作り、やがて『あかん』という機関誌を出しはじめる人物である。」
足立巻一さんは、「思想の科学」のメンバーでありましたか。足立さんの
発想には「思想の科学」に通じるものを感じてはいましたが、ご本人の書い
たもので、これについて触れているものを見ていただろうか。
ということで、いろいろと読むのが楽しみでありますが、まずはその前に
長谷川四郎さんの本をです。この12月は四郎さん、鶴見さん、加藤周一
さんについての本を読んで過ごすことにいたしましょう。
なんとなく、これまでの読書生活において、大きなウェイトを占めている
人についての区切りとなるような本が、立て続けにでるという印象を受け
るのですが、これは単なる偶然でありましょうか。