本日に岩波「図書」7月号が届きました。早速、なかをのぞいてみました。
このところの「図書」編集長は佐藤正午さんの担当する坂本政謙さんでありまして、
岩波で佐藤正午さんの本を企画するのですから、昔々の岩波らしさがないことです。
当方が坂本政謙さんのことを知ったのは、光文社文庫にはいった「ありのすさび」
を読んでのことでした。
![ありのすさび (光文社文庫) ありのすさび (光文社文庫)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/418xiAdo2KL._SL160_.jpg)
- 作者: 佐藤正午
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思っていましたら、そのまえに「きみは誤解している」という短篇集を担当し、岩波
からだしたのだそうです。これが2000年のことといいますから、岩波と佐藤正午さん
の付き合いは、もうかなりになります。
「ありのすさび」は、岩波からでた佐藤正午エッセイシリーズの一冊目で、文庫化
されたときには、解説を坂本さんが担当して、「まず、この本の成り立ちについて
お話したいと思います」と書き出しています。この坂本さんの文章は、佐藤正午さん
のエッセイ集制作裏話が記されていて、たいへん興味深いものです。
ということで、「図書」7月号を見てみましたら、英文学者阿部公彦さんが書いて
いる「作家と胃弱」というエッセイで佐藤正午さんの文章と作品を話題としていまし
た。朝日新聞の土曜別刷りに掲載の「作家の口福」の佐藤正午さんの文章から、最新
作「月の満ち欠け」と「小説の読み書き」というエッセイ集に話が転じていって、岩
波と佐藤正午さんの蜜月をお祝いするようなものとなっています。
そう思っていましたら、編集後記である「こぼればなし」の一番後ろに次のように
ありました。
「本号の責了間際、朗報が舞い込みました。四月に刊行された佐藤正午さんの『月の
満ち欠け』が、第157回直木賞の候補作にノミネートされました。小社刊行の小説が
候補に挙がるのは、第107回でノミネートされた清水義範さんの『柏木誠治の生活』
以来、25年ぶりのこと。注目の選考委員会が開催されるのは、7月19日です。」
素直に喜んでいるのが伝わってきますが、めでたく受賞されたらご本人よりも、
担当の坂本さんのほうが喜びそうでありますね。