三十八度日記

 昨日は、すこし早くに休んだので、夜中に何度も目がさめました。すこし汗がでて
いたので、これを熱がさがる前兆かなと思い、明け方に体温を測ったら、ほぼ平熱に
なっていました。
 なるほど、風邪にも負けず強いことであるなと思って、昼間に体温を測ったら、
なんのことはなし、38度に戻っていました。とほほ。
体温を測るから風邪を引いていることを意識するのであって、ほっておいたら、すこ
し具合が悪いなくらいで終わるのかもしれません。
 本日は、久しぶりで小沢信男さんの「三十八度日記」という小品を読み返すことに
しました。1070年「新日本文学」2月号に発表したもので、小沢さん42歳の作品です。
コンタック600をのんで寝たが手おくれで、朝から三十八度五分。これはもう本格的
な風邪だから、布団をかぶって寝ているよりない。すると五臓六腑がやたら畳に吸いつ
くみたいで背中がいたむが、日ごろけっして大事に扱っていないのだから、このさい
彼らがいっせいに疲労を訴えるのもむりはない。」
 三十八度の熱がでている主人公は、ほぼ作者である小沢さんとおぼしきで、ちょうど
この発熱でダウンしているときに編集嘱託をつとめている「月刊Q」の出張校正時期で、
参加できずに、編集の若い女性たちに作業を任せることになりです。
 小沢さんは、若い時に肺結核を患っていますので、風邪をひいて高熱で肺に負担が
かかるのは大きなダメージを与えることになりです。
 そんへんの経緯について、ユーモアを交えて書いているのが、「三十八度日記」とな
りです。結局、このときは、若かったせいもあり結核の再発とならず、事なきを得たの
ですが、とにかく風邪は万病のもとであります。