これまで縁なき作家

 縁がない作家というのは、ほとんどがそうでありまして、当然ながら一作でも読ん
だことのある作家というほうがすくないのであります。その昔に女流作家が後輩の
作家にその昔の男性作家との関係を聞かれて、ねたとかねてないとか簡潔に答えられ
たそうですが、当方もこの作家はどうですかと聞かれたら、読んだ読んでないと答え
ることになるのでしょう。
 若い作家の場合はほとんど読んでないでありまして、なじみであったまずまず読ん
だ作家は、そのほとんどが鬼籍にはいっています。いまでも作品を発表している作家
で継続して読んでいる人には、どのような人がいたでしょうね。ほとんどみなさん
80歳を超えているようであります。最近は大江健三郎さんは縁がなくなっているし、
加賀乙彦さんは、大作を完結してからあまり作品で気をひくものはなくなっています
が、それでも気になっていますので、小沢信男さんをのぞきと、このあたりが一番の
年長さんであるようです。これに続いてはコラムを愛読している小林信彦さんのよう
でありますが、最近目にしたところでは週刊文春のコラムが休載しているとのことで、
これは体調に問題があるのでしょうか。
 昨年に久しぶりの新作を発表して話題となったのは、作品数が少ないせいもあって、
これまであまり縁がなかった柴田翔さんであります。ドイツ文学専攻の作家の書くも
のは、甘ったるいのが特徴といわれたものですが、そんな柴田さんも80歳を超えての
25年ぶりくらいでの新作でありまして、これはどのようなものであるのか、ちょっと
気になることです。
 どこかの書店で立ち読みをしたいと思いますが、いつになったらできるでありま
しょうぞ。

地蔵千年、花百年

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