天からふってきた 2

 昨日は「天からふってきた」ということで、思いがけなく飛び込んできたクオカー
ドと、それで購入した本のことを話題としたのですが、この「天からふってきた」と
いうのは、トルコの昔話をまとめた「天からふってきたお金」のタイトルから借りた
ものでありました。

天からふってきたお金―トルコのホジャのたのしいお話 (岩波おはなしの本 (9))

天からふってきたお金―トルコのホジャのたのしいお話 (岩波おはなしの本 (9))

 この話はどんなものであったろうかと思いながら、物置かどこかにあるこの本を
のぞいて見ることもなしで終わりました。
 野呂邦暢さんといえば、5月7日が祥月命日でありました。当方が昨日にクオカード
に導かれて野呂さんの小説集成8巻を購入したのは、野呂さんにも引かれたものであ
りましたでしょうか。
 そういえば、先日に手にした勢古浩爾さんの「定年後に読みたい文庫100冊」のあ
ちこちに野呂邦暢さんの著作があがってきました。「定年後に読みたい」は、百冊をいくつかのジャンル分けして、そのジャンルごとに
十数冊の本をリストアップしているのですが、野呂さんの本があがってくるのは、時
代小説というジャンルで、作品は「諫早菖蒲日記」であります。この作品について記
されているくだりのおしまいのところには、さらに次のようにありです。
野呂邦暢芥川賞を受賞した『草のつるぎ』とその続編『砦の冬』は、自分の自衛
隊経験を土台にした昭和三十年代初期のひとつの青春を書いた名品である。」
諌早菖蒲日記 (文春文庫 (190‐3))

諌早菖蒲日記 (文春文庫 (190‐3))

 勢古さんのジャンル分けには戦記物というのがありまして、これがなかなか珍しい
ものです。当方は戦記物なんてほとんど読んだことがないのですが、戦記物を良く読ん
でいるということでも、勢古さんは野呂さんに対して近しいものを感じているようで
あります。
 野呂さんは戦記物を書いたりはしていませんので、ここでは他の戦記物に関連して
野呂さんの「失われた兵士たち」についての言及がありました。
「十五歳頃から戦記物を読み始めた野呂は、土曜通信社という出版社から発行された
月刊誌『今日の話題』を読んだ。一冊が三十数頁の薄い雑誌だが、その中に毎月一編
戦争体験記が掲載されていたからである。野呂はそんなものまで読んでいたのか、と
感心しながら読んでいたわたしは、唖然とした。・・・
 ついでにといっては悪いが、『失われた兵士たち』は誠実無類の戦記評論である。
野呂があの大作『レイテ戦記』を五回通読したと知って、驚愕した。」 野呂さんの「失われた兵士たち」を、このような切り口で評価できるというのは、
勢古さんはすごいことと素直に思いました。