いよいよ師走

 気持ちがあわただしくなる師走であります。当面の読書の柱となるのは、

河出書房からでた福島紀幸さんの「ぼくの伯父さん」となります。

ぼくの伯父さん: 長谷川四郎物語

ぼくの伯父さん: 長谷川四郎物語

 

  これまで何度も「ぼくの伯父さん」については話題にしているのですが、

それは長谷川四郎さんの作品のタイトルであったり、「ぼくの伯父さんの

会」についてであったりします。

 とにかく当方にとって「ぼくの伯父さん」といえば、誰がなんといっても

長谷川四郎さんとなんですね。なんのことではなし、そのように言っている

のが、晶文社長谷川四郎全集」内容見本(1975年)の宣伝文(書いたの

小沢信男さん)であるからですね。過去にも引用しているはずの内容見

本からまたまた引用することに。

長谷川四郎氏の文章の魅力は、魔法の杖のようなもので、読む者のうち

に、えもいわれぬ歓びを響かせます。しかしなぜそうなるのか。それがなか

なか捉えがたいのです。

 思うに氏の文章が、あまりにものびのびと読者の深いところにとどいて

しまうがゆえに、われらは、それを天来の妙音と感じざるをえないので

しょう。

 すなわち長谷川四郎氏は、われらのごく身近にいる『ぼくの伯父さん』

であり、同時にまた、遥か天空に渦巻く一箇の星雲なのです。」

 この全集の編集と解題を担当されたのが福島紀幸さんでありまして、

この内容見本には「解題者ノート」という福島さんによる小文が掲載され

ていて、これも紹介に値すると思われますので、一部を引用です。

「全集という以上、長谷川さんのこれまでに書かれたものは種類・大小を

問わず入手可能なかぎり収録するというのが、さいしょに立てられた基本

方針であった。しかし、いざ着手してみると、それにはたいへんな困難が

ともなうことがわかった。主要な作品で本になっているものは別として、

長谷川さんの許には、これまでに書かれたものの切抜きがほとんどない

のであった。これは、すでに生み出されてしまったものは捨ておいて、これ

から何を生みだすかにひたすら想いを馳せる長谷川さんの態度にもよる

が、実際には、たびかさなる引越しのあいだに、とっておいた切抜きが紛

失してしまったためである。」

 このような状況にあって、どのようにして文章を集めたかでありますね。