アナザーストーリー

 本日夕方TVを見ていましたら、「アナザーストーリー」という番組をやっていまし
た。これはどうやら再放送であるらしで、この手の番組はあまり関心がないのですが、
今回の特集が「史上最悪の抗争!山口組VS一和会」ということで、ついつい見てしま
うことになりました。
 分派との抗争ということでは、その昔は新左翼党派にも見られたものでありますが、
最近はあまり話題となることはなくなっていて、ヤクザの世界では、今は生活が大変
になっているせいも、盛んに小競り合いが続いています。
 しかしTVで「史上最悪」といわれているように1985年のバブル経済を背景にした山
口組の跡目をめぐっての抗争は、山口組のトップを引き継いだボスを、一和会が狙撃
して殺したことにより、全面抗争に発展しました。
 これについては、多くの本が書かれているはずですが、当方はほとんど手にするこ
ともなしでした。
この番組を見たのは、最近読んだ小説にこの抗争が織りこまれていたからであります。

籠の鸚鵡

籠の鸚鵡

 この小説は1980年代のバブル社会を複層で描いていまして、その一つの層には開発を
めぐる経済活動があって、そこには表社会と裏社会があり、その接点となる場所があり
です。その下の層には裏社会であるヤクザの世界が跡目をめぐって分裂し、その一連の
抗争のなかで、ヒットマンに仕立てられる男のことが描かれます。もう一つの層では
表社会にいる実直な公務員男性が、はめられて公金に手をつけてしまうまでのことが
描かれます。
 ちょっと歯車がくるってしまうと、時代に流されてしまって、思ってもみないところ
にいきついてしまう。時代も人もでありましょうか。