違った時間が

 本日は気温があがらず、風も強くて寒い一日となりました。お天気がそんなに悪く
なる前にひさしぶりはや足散歩へとでかけました。最初は寒くてでしたが、30分ほど
歩きましたら、やっとすこし身体が温まってきて、一時間ほど歩きましたら、ちょっ
と汗をかくことになりました。
 昨日に引き続き、気分をかえるための読書となりました。手にしていたのは里見とん
の小説「安城家の兄弟」であります。

安城家の兄弟 (上) (岩波文庫)

安城家の兄弟 (上) (岩波文庫)

 本日はやっとこさで100ページほどでありますから、まだまだ先は長いこと。
それにしても流れている時間や風俗が、現代とはまったく違って、つっこみどころ満
載というか、違った世界の話であります。たとえば、こんな感じでありますよ。
「或る夕方、昌造は、二十歳になるかならずの、不良少年と言はれる性の若者二人に
押しかけられたが、さう締切ぎりぎりの仕事でもなかったし、一人で食ふ飯のまづさに
気を腐らせてゐる矢先でもあったので、通して早速酒にした。一人は西山普烈といふ
混血児で、もう三四年も前から、時折ふらりと訪ねて来ると、自分の都合では、三日
でも四日でも平気で泊まり込んで行くといふ風な男だったが、いくら嘘をつかれても、
初めからあれにもしてゐないせゐか、大して腹も立てず、昌造はわりに贔屓にしてゐた」
 昌造というのは、主人公で作者が投影されていて、仕事は小説家であります。家族は
いるのですが、作品を書かなくてはいけないときには、自宅でははかどらないので、
鎌倉にある旅館にこもって仕事をするのですが、そこに不良少年が遊びにくるという
くだりであります。
 これまた何をしているのかわからない不良少年たちの逸話が愉快なのでありますが、
いまではこのようなことはないのだろうなと思って読んでいまして、そういえば、以前
読んだ団鬼六さんについての本を読んだら、このような話がたくさんあったなと思った
ことです。
赦す人: 団鬼六伝 (新潮文庫)

赦す人: 団鬼六伝 (新潮文庫)