本日は、借りていた本を返すために図書館へといってきました。
返却したのは、池内紀さん「亡き人へのレクイエム」でありますが、これはよかった
ことです。購入して手元においておきたいなという気分になりました。
これを返して借りてきたのは「日本廻国記 一宮巡歴」川村二郎 河出書房なのです
から、これは池内さんの本のおかげです。
先日にも記したかと思いますが、川村二郎さんはなかなか気難しそうな印象のある批
評家(ドイツ文学者)でありまして、なかなか親しむことはできなかったのであります
が、「亡き人へのレクイエム」でのポートレートには、人間味あふれるエピソードが
紹介されていまして、この中で書名があがっている川村さんの「日本廻国記」を借りて
読んでみましょうとなりました。( 川村二郎さんの祥月命日である2月7日にあわせ
て読もうと思ったのですが、こちらは一週間遅れてしまいました。)
- 作者: 川村二郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1987/05
- メディア: 単行本
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教授でもありました。)と仕事の終えてから大学近くの飲み屋で呑んでいる時に、川村
さんが全国の一宮を巡る旅を始めると聞いて、自分の故郷の一宮に関する文書を渡した
とあります。このことは、川村さんの本にもでてくるのでした。
「姫路出身で、古社寺についてもなかなか精しく、『峰相記』の注釈書を贈ってくれた
友人、池内紀も、播磨一宮には行ったことがないといっていた。それだけ辺鄙な、山陽
道とはいえ山陰の方に近いといってもよい避陬の社なのである。」
(書き写していて、普段まるで目にすることのない文字にいきあたりました。りっしん
べんに取をあわせた文字ですが、この漢字はうまく表記されるかな。なんて読むので
しょうね。)
当方が暮らしているところは、新開地でありますので、明治以前の神社は存在せず、
一宮というのを眼にしても、なんの感慨もわかずであります。どこかに一宮市という
のがあったなくらいでありますが、本来の一宮というのはなんであるのかと訪ねて歩く
というのが川村さんの著作です。
川村さんは、もともとほとんど物見遊山をされない人ということで、その人が普通
列車やバスを乗り継いで辺鄙な場所にある一宮をめぐる姿を池内さんがユーモアたっぷ
りに描いています。