おおつごもり

 いよいよあと何時間かで、2016年も終わりとなります。
「おおつごもり」といえば、樋口一葉の小説でありますが、この年になってやっと
樋口一葉の小説を、何作か読むことができました。十一月に東京へといって浅草の
三の酉の様子を見て、その後で樋口一葉記念館を見学し、竜泉寺界隈を歩いたので
すが、ここらで樋口一葉はお店をやってくらしていたのかと思いました。ひどく
貧乏でいつもお金に困っていたと、そういう生活のなかから「おおつごもり」が
生まれたのでありました。
 幸いにして当方の本日は借金取りに責められることもなしでありました。できる
ところまで掃除をして、早々に年取りの態勢にはいりました。
当方の地方では大晦日の晩にはごちそうをいただくという習慣がありまして、午前
に刺身を買ってきて、すこし早めに夕食としました。
 今年はこのブログを通じて近しくしていただいた「仙台が親戚」さんが3月に急逝
し、その後には英国がEC離脱に舵をきり、アベノミックスはどうみてもうまくいって
いるとは思えないのですが、高い支持率を背景にいいようにやられて、11月のUSA
大統領選挙では泡沫トランプがあれよあれよのうちに当選しと、思わないことばかり
が続いた一年となりました。
 本音で生きてなにが悪いのかというのが、最近の傾向のようであります。自分の
ことばっかりを考えずに、他の人のことも考えるようにというのが、社会的な規範で
あったように思っているのですが、それが違っていたとしたら、これにかわるものは
あるのでしょうか。
 一葉「おおつごもり」の主人公は、世話になった家族のためを思い行ったおとによ
り窮地に陥るところを、自分のことしか考えない奉公先の放蕩息子の所行によって
救われるのでありますが、自分のことしか考えない人は、他の人を救うことはできる
のでありましょうか。
 ということで、2016年も拙ブログにお付き合いをいただきまして、ありがとうござ
います。
 来年は、皆様にとって良い年になりますように。