旅行中に買った本

 関西滞在中は、わざわざ持参した大西巨人さんの「神聖喜劇」は、ほとんど読むこと
がなしでありました。行きの飛行機のなかではそれを読んでいたのですが、なかなか
落ち着かない環境で読むにはむいていません。そんなわけで、それからはつまみ読みす
ることができるものへ切り替えることとなりました。
 今回の旅行中に購入したもので一番多かったのは中公文庫でありました。
「父西條八十」をはじめとして、次のようなものです。

父西条八十 (中公文庫 M 82)

父西条八十 (中公文庫 M 82)

仕かけのある静物 (1980年) (中公文庫)

仕かけのある静物 (1980年) (中公文庫)

東西ものがたり (1983年) (中公文庫)

東西ものがたり (1983年) (中公文庫)

おやじの昭和 (中公文庫)

おやじの昭和 (中公文庫)

 特に珍しいものではありませんが、いずれも短い文章をまとめたもので、どこから読
んでもよろしいという中公文庫になります。
 富岡多恵子さんは、学生のころにこれを読みなと思潮社からでている現代詩文庫の
一冊をおしつけられたことがあります。当方は詩は得手ではないこともあり、ほとんど
そのページを開くことはなかったのですが、その当時は池田満寿夫との関係で話題に
なっていて、富岡さんとはどのような人かと思っておりました。
 それ以来、富岡さんのものは何冊か新刊で購入しているのですが、その昔の小説は
ほとんど読んでいなくて、これから、中公文庫にはいっているものがあれば入手しま
しょうかと思いました。
 「仕かけのある静物」の表題作は20ページほどの短編ですが、この作品がベースと
なって、あとに「壺中庵異聞」が生まれたとありました。ということは真珠社主人が
でてくるということですね。
 「東西ものがたり」は、吉田小五郎さんの本であります。その昔に慶応幼稚舎長を
つとめた先生ですが、もちろん優れた教育者であって、キリシタン文化の研究者。
岩波文庫にも訳書があります。たしか資生堂名誉会長・福原義春さんが、吉田先生の
ことを「ぼくの複線人生」で記していました。
 「おやじの昭和」は、このような本のあることを知りませんでした。この本を手に
して、著者が北海道にゆかりの方であること、これの表紙カバー川上澄生さんの作品
が使われて(「東西ものがたり」の表紙も川上澄生さんです。)いることが、これを
買うにいたった動機であります。