図書館から借りた本 2

 鳥海修さんの「文字を作る仕事」を借りたのは、「文字作り」ということに関心が
あったことはもちろんですが、これの目次をみましたら、「人がいて、文字がある」
という章に「藤沢周平を組む 萬玉邦夫さんのこと」という文章があったからでもあ
りますね。

文字を作る仕事

文字を作る仕事

 文藝春秋社の編集者 萬玉邦夫さんは、それこそ伝説的な存在でありますが、この
方についての文章の少ないことであります。もすこしいろんなことを知りたいなと
思うのですね。
 雑誌編集ではなくて、単行本の編集をされていたと思いますが、古山高麗雄さんの
ものや谷沢永一さんの「紙つぶて」、阪田寛夫さんのものなどのあとがきには、萬玉
さんの名前がでてきます。
 当方のブログでも引用したことがありますが、坪内さんの「しぶい本」の後書きに
も萬玉さんへの言及があり、その萬玉さんのかかわりが「文庫本を狙え!」完全版が
でるまでに時間がかかったことと関係があるのではと勘ぐっております。
 「紙つぶて最終版」のまえがきには、「紙つぶて 最終版」企画の推進役であった
萬玉から企画の提示があって、形になるまで20年近くもかかったが、その最終段階と
なる平成16年9月13日に萬玉さんが死去して、それでこの企画をあきらめたが、別の
編集者が萬玉さんのあとを引き継いで刊行にこぎつけることができたとありました。
萬玉さんが亡くなって、すでに十二年が経過しているということになります。
 鳥海さんの萬玉さんについての文章の書出しです。
「グラフィックデザイナーの平野甲賀さんがつぶやいた。
『オレが勝てない装丁家が一人だけいる。それが萬玉だよ。』」
 装丁作品集がでていて著名なデザイナー平野甲賀さんが、そういうのであります。
この書き出しをみても、萬玉さんに興味がわきますでしょう。