本日到着せり

 本日に注文してありました大西巨人さん光文社文庫版「神聖喜劇」第一巻が届き
ました。これで読みすすめる準備が完了です。これまでの光文社版 単行本とあわせ
て、その日の気分で読み分けることにしましょう。
 ちなみに単行本のほうは、栃折久美子さんが装幀をしておりまして、光文社文庫
ほうは間村俊一さんと林哲夫さんによるものとなります。

神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)

神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)

 たえず作品に手を入れ続けていた大西巨人さんですが、光文社文庫版第一巻の前書き
で、次のように記しています。
「なお、元版から当版に至るまでの間に、逐次、若干の修訂が行われた。この文庫版を、
私は、今日における決定版として、『神聖喜劇』に関する論評が今後この版について為
されることを希望する。」
 この文庫版が決定版となるのですね。これは心して扱わなくてはいけません。
とりあえず、単行本版と同じくいただきもののせんべいの包み紙で、文庫本にもカバー
をつけることとしました。文庫本を手に取りましたら表紙にかわりまして、大きなえび
の絵が目に入ります。しばらくは、この包装紙のえびの絵を見る日が続きそうであり
ます(もちろん、坂角総本舗の包装紙を利用したカバーです)。
 ネットの広告を見ていましたら、「私たちも、ニッポンのお役に立ちたい。」という
コピーが眼に入りました。「2020年 翼賛態勢」のコピーでありますが、2020年の大
会は返上すべしという自説をコラムで展開している長老もいることでありまして、
「ニッポンのお役に立ちたい」なんて言葉に足許をすくわれないようにしなくてはです。
 「いつどこに生贄を見出して荒れ狂うかもしれない一個の権威、一個の邪悪な意志が、
全員の上に物色の眼を光らせている。特にこういう状況における新兵たちには、言わば
うしろ暗いような、犯罪人のたたかれれば埃が出るそれのような、心の怯えが、付き纏う
ようである。」
 大西巨人さんが描く軍隊内務班における上官と新兵の、力関係でありますが、時代は
かわっても、こうした関係は、人間社会の底のところを暗い水脈のように流れている
ようです。ネット社会というのは、それを加速するものであるかもしれません。
 翼賛態勢に巻き込まれないためには、寛容ではあるが非協力という姿勢が必要である
ようです。