本日の読書欄から

 本日は日曜日ですから各新聞は読書欄を掲載です。当方が購読している新聞は一紙
のみですが、出先で立ち見をした地元新聞と、ネットでちょっとのぞき見した新聞で
三紙のラインナップだけは目にすることができました。
 一番よかったのは、豊崎社長の「鮭児書店」が三ヶ月ぶりに掲載となった地元紙で
ありまして、豊崎社長は津原泰水さんの新作を取り上げていました。このほかでは、
「テロルの伝説」の紹介もありまして、なかなか骨っぽいことであります。
ネットでみた毎日新聞は、最近はあまり中を見せてもらうことができずでして、ヘッ
ドラインを見る限りにおいては、新聞を買いに走ろうということにはならずでした。
 購読紙では、このところ「文豪の朗読」という連載をしていまして、本日は海音寺
潮五郎が自作「武将列伝 勝海舟」を読むのを、歴史学者本郷和人さんが聴いて評し
ていました。
 せっかく朗読を聴いているのでありますのですから、内容ではなくて、作者の語り
について言及するところがもっとあればよろしいなと思うのですが、それについては、
あっさりと次のようにあるだけです。
「いかにも海音寺にふさわしく思える重厚な声と語りとが、そのことを諄々と説き聞
かせてくれる。」
 これでは、ちょっとさびしいなと思うのは、ずいぶんと昔にも引用したことがある
武藤康史さんの「文学鶴亀」の記述があるからです。
 それは「朗読批評を求めて」という文章ですが、「朗読のカセットやCDは今でも
ぽつぽつ出続けているが、善し悪しはほとんど語られず、小泉今日子吉本ばなな
を読んだCDのように意欲的な企画はあとが続かないし、竹中直人夢野久作を読ん
だカセットのように廃盤になっている名作も多い、これは批評がないからではないか
と腐っていた」とあります。
 朗読ものにも批評をというのが、武藤さんの立場でありまして、その上で、次の
ように書いています。
「だいたい文士の朗読などというものは、・・読み方は二の次、当人の声さえ聴けれ
ば満足です、という態度で接するのがならわしのようなものなのに、谷川俊太郎と来
たら朗読そのものが滅多やたらにうまい。」
( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080318 と翌日 )
 本日の読書欄にありました「文豪の朗読」は、その昔に「月刊朝日ソノラマ」につ
いていたソノシート音源を、朝日新聞デジタルで公開していることと連動した紙面で
あるようです。これは、ちょっとさびしいかな。
 そういえば、先日にラジオ欄によせられた読者の声に、NHK第2放送の朗読番組
でやっていた「蓼喰う虫」が大変よかったというものがありました。ラジオでこの
朗読があったのは、まったく知りませんでした。もっとラジオ番組に注目をしなく
てはいけないようです。