このごろ読んでいる本

 ここしばらく小説といえば野呂邦暢さんの小説集成第7巻を読んでおりました。

水瓶座の少女 (野呂邦暢小説集成7)

水瓶座の少女 (野呂邦暢小説集成7)

 この作品集の表題作となっている「水瓶座の少女」は、その昔にどうしてだかは忘れ
てしまったのですが、文庫本で購入をしておりました。当方の手元にある文庫本では、
ぶっちぎりの高額でありまして、そのせいではないでしょうが、これまで積読状態で
ありました。今回、小説集成に収録となったのを機に、まったく遅ればせで、この作品
を読むことができました。この巻は、既刊分の小説集成のなかでは一番手にしているか
もしれません。ジュニア向け小説というのが、当方の現在の状況にあっているのでしょ
う。
 ここしばらくといえば、本当にお天気がぱっとしませんでした。今年の関東地方は
空梅雨とかいわれていましたが、こちらは太平洋の影響を受けるエゾ梅雨ともいうべ
きもので、ややしばらく太陽が顔をみせませんでした。日本海の影響を受ける地域は
この時期、好天が続くのですが、こちらは海霧がかかって、気温は上がらず、曇天と
なります。朝のうち、晴れているなと思っていたらどんどんと海から霧が入り込んで
来て、見通しがきかなくなります。
 そういえば「海霧」の季節だよなと思っていましたら、先日にこれをタイトルとし
た小説を購入したことを思いだしました。
海霧 (新潮文庫)

海霧 (新潮文庫)

 加賀乙彦さんは、北海道の東部に題材をとった「湿原」という作品がありますが、
この「海霧」の舞台もほぼ同じ湿原地方であります。
 文庫カバーには、「失恋の痛みを忘れるために喧噪の東京を離れ、北海道の東の果
て、森と湿原と海に囲まれた病院勤務した」とありました。当方の住むあたりも「森
と湿原と海に囲まれた」という土地柄は共通しています。この作品は「純愛を描く」
ものとありますが、当方の関心は、海から湿原に入り込んでくる白濁の霧の情景描写
にありです。いったいこの作品には、そういうところがあるのでしょうか。