ほぼ読了か

 今月にはいって手にしていました陣野俊史さん「テロルの伝説」は、残すところ最後
におかれた桐山襲さんの「プレゼンテ」という作品だけとなりました。

テロルの伝説:桐山襲烈伝

テロルの伝説:桐山襲烈伝

 かなり重たい内容の本でありますし、最後までたどりついたとしてもとうてい読了と
いう感じにはならないことです。まずは、いっきに最後までたどり着いて、このあと
気になるところを読み返すということになりそうです。
 けっこうなボリュームでありますからして、最後まで読めるかなと思いましたが、
なんとか順調に読めたのは、当方が桐山さんの作品世界に、ちょっとなじんでいたこと
と、桐山さんの伝記的なことについての関心が強かったことであります。
 このような作品を書き続ける人が、昼間の勤め人としてどのような評価を受けていた
のかということが、当方の最大の関心です。もちろん、職場の人たちは、同じ部屋で仕
事をしている彼が、小説を書いていてペンネームは桐山襲であるということは、知るこ
とになったのでしょうが、今回の本には桐山さんの奥様は登場しますが、職場の同僚た
ちによる発言はありませんでした。( 桐山さんの作品を理解するのに、昼間どのよう
な職業人であったかは、ほとんど関係ないかもしれません。)
 桐山さんの仕事に関しては、ほとんど二箇所くらいしかでてこないのですが、奥様の
次の発言を伝えています。
「桐山夫人の話をうかがうかぎり、私の想像とは違う『生活』だったようだ。
 桐山は可能な限り、仕事に通った。体調と相談しつつ、という条件はつねについてま
わっただろうが、仕事場である役所にはできるだけ通った、という。むろん、職務に許
された休養日数は、厳密に計算されていた(このあたり、桐山はプロの『事務屋』だっ
た、と夫人は語る。)最大限の休みを利用しながら、昼間の仕事と、物書きとしての仕
事を両立させていた。」
 桐山さんは、四十一歳の時に悪性リンパ腫を発症し、上に引用したのは、その時の
エピソードとなります。結局は、これがために2年後の1992年3月22日になくなってい
ます。