二日の休みがあればとあったのは、このところ読んでいる文庫本の訳者解説
のなかであります。
「長いといっても、二日の休みがあれば一冊は読める。たしかに難解な箇所は
あるが、なにも特殊な専門用語が使われているわけではない。哲学ふうの考察
は出てくるが、語り口には総じてユーモアと皮肉がただよい、面白おかしく
読める箇所も少なくない。」
これがあるのは、岩波文庫版プルースト「失われた時を求めて」第一巻であり
まして、翻訳者さんは吉川一義さんです。この小説を翻訳するのにどのくらいの
時間をかけたのかわかりませんが、ほとんど暗記するくらいに読み込んでいるの
でありましょう。
それにしても「二日の休みがあれば一冊」というのは、厳しいですね。当方は
休みは続いているのですが、一冊どころか50ページ読むのも大変であったり
です。それでも、今回はすこし読んでいて前に進んでいる実感がありまして、こ
れを読み始めたときには3年くらいで最後の巻にたどり着けばいいかと思ったの
ですが、今はもうすこし早くに読めるのではないかと思えています。
今は「スワンの恋」の終わりに近づいたころですが、スワンさんが想いを寄せ
るオデットという女性については、訳者さんは粋筋の女性というふうにいうので
ありますが、なかなかわかりにくいですね。
そういえば、日本の明治時代には欧州の貴族制度を導入したのですが、その時
にこのオデットさんのような役割の女性も一緒に導入したのでありますね。(そ
れ以前からもあったのかもしれませんが)
明治の元勲といわれて人の夫人(第一夫人ではないのかもしれませんが)には
粋筋の人がずいぶんいたようにも思うのですが。