ほぼ読了か 2

 昨日から続いて陣野俊史さん「テロルの伝説」を話題にします。最後までページを
めくるのがやっとでありますからして読了なんて、とってもいうことができません。
そういえば、以前読んだものに、その方が読み終えた本には「看了(?)」という印
を押すことにしていると書かれていましたが、残念ながら当方は自信をもって読了し
たといえるものは、ほとんどないことです。
 それはさて「テロルの伝説」は、桐山襲さんの作品の読み込みと解読が中心であり
ますが、桐山さんの小説はどれも組み立てが複雑で、単線では話がすすみませんし、
それに語り手などもかわってしまいますので、どうしてそういうことが必要になるの
かということも含めて、説明をしてもらわなくてはわからないですね。
 それにとどまらず、桐山作品の評価についてのくだりもあります。テーマの重たさ
だけではなく、それをこえる文学作品としての価値についてのことも書かれています。
 その上で、桐山襲という人間についてであります。桐山さんは、極めてこだわりの
強いかたでありまして、世の中の多数派には決して組みしないし、色々な理由で少数
となり迫害を受けることになった人々に、熱い共感を表明するのでありました。
 その対象は、陣野さんの本によりますと「連合赤軍東アジア反日武装戦線、南方
熊楠、謝花昇、山岡強一、船本洲治、難波大助」とあります。
 南方熊楠謝花昇については、時代がかわって復権しているように思いますが、
連合赤軍東アジア反日武装戦線」はいまだ最大の反社会的存在であり続けていま
す。
 当方はどちらかというと、多数派にはつきたくないほうでありまして、なぜか気が
つくと少数意見の組みしているのですが、それでも最後の一人にはなりたくないなと
思うのでした。 
 この本に登場する人物でいくと「永山則夫」さんについてであります。最近はその
生育歴も含めて、彼が事件を起こすにいたった背景がわかってきていますが、こうい
う事件を起こした人への見せしめのような刑の執行ではなく、こうした事件が起きな
くするような対応はされているのかであります。
 そういえば、数日前にも包丁を手にしてショッピングモールで無差別に殺傷しよう
とした事件が発生しましたが、桐山さんは、こうした青年に対してどのようにコメン
トするでありましょう。