久しぶりのブックオフ

 本日は庭仕事をすこしお休みとしまして、午前中にブックオフへといってきました。
前回いったのは大型連休中で、本は20%オフというセールをしていたのですが、こ
れはさっぱり食指が動くものがなく、収穫なしで終わっていました。
 本日は昨日に話題とした佐藤亜紀さんのものでも見つからないかと思っていったの
ですが、これは運良く文庫本を見つけました。

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

 リンクをはったのは文春文庫のものですが、当方が見つけたのは新潮文庫版でした。
この「バルダザールの遍歴」は、日本ファンタジーノベル大賞を受けた作品で、この
大賞は新潮社がやっているものでしたので、この作品が文春文庫にはいっているとは
思いませんでした。
 この新潮文庫の表紙カバーには書名の上に「ET IN ARCADIA EGO 」と刷り込まれて
いまして、なんとこれは当方が知っているほとんどただ一つのラテン語成句でありま
す。篠田一士さんが編集した平凡社からでたシリーズ「現代人の思想」の一冊「伝統
と現代」に収録のE・パノフスキーのエッセイのタイトルがこれでした。
「われまたアルカディアにあり」とも訳されるこれと、この小説はどのように関連す
るのでありましょう。
 この新潮文庫版の巻末には矢川澄子さんの解説がありです。それをまず見てみまし
たら、矢川さんは「日本ファンタジーノベル大賞」の選考委員として、この作品に
出会ったとありました。矢川さんは、この作品を絶賛で、次のように書いています。
「選考委員のはしくれに名をつらねる者として、はじめてこの小説に接したときの
衝撃をわたしはわすれることができません。いままで日本の作家のだれも垣間見せて
くれなかったような、巧緻で人を食った、しかも重厚な趣のある世界がここには大胆
に展開されていたからです。文章といい構成といい、のっけから、あ、今年はこれ
だな、とおもわせるほどの、それはしたたかな手応えでした。」
 ちなみに、これが受賞したのは1991年度のことですから、すでに四半世紀も昔の
こととなります。豊崎社長絶賛でありますが、矢川さんがこのように書いているの
は頭に残っていませんでした。
 さっそく矢川さんの本「いづくにか」を手にして、1991年度の選評を確認しまし
た。矢川さんが亡くなったあとにでた「ユリイカ」の別冊特集では、佐藤亜紀さん
が対談にでてきているのでした。
 なかなか楽しみな展開になってきたことであります。