昨日に引き続き「一冊の本」3月号から話題をいただきです。
作家 佐藤優さんが「『悪』の研究のケーススタディー」というのを掲載している
のですが、今回に取り上げているのは、小保方晴子さんの手記「あの日」です。
- 作者: 小保方晴子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/29
- メディア: 単行本
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この本についてのAmazonの紹介は、次のようになります。
「真実を歪めたのは誰だ? STAP騒動の真相、生命科学界の内幕、業火に焼かれる
人間の内面を綴った衝撃の手記」
佐藤優さんは「悪の研究」というくくりで、この本を取り上げているのですから、
否定的な立場からの取り上げとなっています。
そのなかで、佐藤さんが書く次のくだりに反応しました。
「ところがこの本(『捏造の科学者 STAP細胞事件』)は、『あの日』の刊行後、
ネット通販サイト・アマゾンのレビューを見ると、星一つ(最低の評価)が急増し
ています。
この本(『あの日』)に対するレビューは全部で百四十三。星一つの評価が二十八
あります(二月十日現在)。そのうち十七のレビューが『あの日』の刊行後に投稿さ
れました。レビュー内容もこき下ろすようなもの、吐き捨てるかのようなものが多い。
一読をおすすめします。
読者をこのような書き込みに駆り立てるという意味でも、『あの日』は、たいへん
な影響力をもっている本だと言えます。」
「一読をおすすめします。」とありましたので、ちょっとのぞいてみましたら、
びっくりぎょうてんで、本日に確認したときには「623件のカスタマーレビュー」と
なっていました。半数以上の方が最高の星五つをつけていました。
レビューの高い評価の人は、マスコミ批判、学会批判、著者を信じるという視点か
らのもので、低い人は、言い訳よりも実験手順をあきらかにせよというもののよう
です。それにしても、予想よりもはるかに高評価が多いのには驚きです。(低い評価
の時に、レビューを書くのは楽しくないですからね。)
ということは、この本で目の敵にされている本はどうかであります。
- 作者: 須田桃子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/01/07
- メディア: 単行本
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佐藤さんによると、この星一つは、「ある日」の刊行以降に急増なのだそうです。
それにしても、アマゾンに一回もレビューを書いたことがない当方からすれば、
「ある日」のレビュー数の多さには、ほんとどうなっているのかなという思いです。
佐藤さんは、この文章では「ポエムを詠んでいる」という言葉で、小保方さんの
世界を評しています。(もちろん否定的な意味で)
この本については、こう記しています。
「この本がさらに売れ、もし五十万部に迫るなら、『ポエム』が内包するものが
社会現象になるかもしれません。現象にならないとしても、何らかの萌芽として
見ておくべきだと思っています。」
「五十万部」に迫るとすれば、このアマゾンのレビューなども、すこしは力を貸し
ているのかと思いますが、この本が売れることよりも、ここの書き込みがどのよう
な傾向となっているのかを見ることが、社会現象を解く鍵なのかもしれません。