『一冊の本」から

 昨日に引き続き「一冊の本」3月号から話題をいただきです。
 作家 佐藤優さんが「『悪』の研究のケーススタディー」というのを掲載している
のですが、今回に取り上げているのは、小保方晴子さんの手記「あの日」です。

あの日

あの日

 たぶん、当方は手にすることにないと思われる一冊です。
 この本についてのAmazonの紹介は、次のようになります。
「真実を歪めたのは誰だ? STAP騒動の真相、生命科学界の内幕、業火に焼かれる
人間の内面を綴った衝撃の手記」
 佐藤優さんは「悪の研究」というくくりで、この本を取り上げているのですから、
否定的な立場からの取り上げとなっています。
 そのなかで、佐藤さんが書く次のくだりに反応しました。
「ところがこの本(『捏造の科学者 STAP細胞事件』)は、『あの日』の刊行後、
ネット通販サイト・アマゾンのレビューを見ると、星一つ(最低の評価)が急増し
ています。
 この本(『あの日』)に対するレビューは全部で百四十三。星一つの評価が二十八
あります(二月十日現在)。そのうち十七のレビューが『あの日』の刊行後に投稿さ
れました。レビュー内容もこき下ろすようなもの、吐き捨てるかのようなものが多い。
一読をおすすめします。
 読者をこのような書き込みに駆り立てるという意味でも、『あの日』は、たいへん
な影響力をもっている本だと言えます。」
 「一読をおすすめします。」とありましたので、ちょっとのぞいてみましたら、
びっくりぎょうてんで、本日に確認したときには「623件のカスタマーレビュー」と
なっていました。半数以上の方が最高の星五つをつけていました。
レビューの高い評価の人は、マスコミ批判、学会批判、著者を信じるという視点か
らのもので、低い人は、言い訳よりも実験手順をあきらかにせよというもののよう
です。それにしても、予想よりもはるかに高評価が多いのには驚きです。(低い評価
の時に、レビューを書くのは楽しくないですからね。)
 ということは、この本で目の敵にされている本はどうかであります。
捏造の科学者 STAP細胞事件

捏造の科学者 STAP細胞事件

 本日までで、アマゾンには「161件のカスタマーレビュー」が寄せられていて、
佐藤さんによると、この星一つは、「ある日」の刊行以降に急増なのだそうです。
 それにしても、アマゾンに一回もレビューを書いたことがない当方からすれば、
「ある日」のレビュー数の多さには、ほんとどうなっているのかなという思いです。
 佐藤さんは、この文章では「ポエムを詠んでいる」という言葉で、小保方さんの
世界を評しています。(もちろん否定的な意味で)
 この本については、こう記しています。
「この本がさらに売れ、もし五十万部に迫るなら、『ポエム』が内包するものが
社会現象になるかもしれません。現象にならないとしても、何らかの萌芽として
見ておくべきだと思っています。」
「五十万部」に迫るとすれば、このアマゾンのレビューなども、すこしは力を貸し
ているのかと思いますが、この本が売れることよりも、ここの書き込みがどのよう
な傾向となっているのかを見ることが、社会現象を解く鍵なのかもしれません。