「今年の収穫」という企画があちこち発表されていますが、当方が購入したものは
ほとんどなくて、これはさびしいことです。あがっているもので、当方が購入した
数少ない一冊は、「本の雑誌」では坪内祐三さんが、毎日新聞では堀江敏幸さんが
あげているというもので、古くからの読者として、これはほんとうれしいこと。

- 作者: 山田稔
- 出版社/メーカー: 編集工房ノア
- 発売日: 2015/07/18
- メディア: 単行本
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一方で、これがきっかけで新しいファンが増えればよろしいと思うことです。すこし
でも多く売れれば、編集工房ノアさんにもいいことです。
当方は、早々に入手しているというのに、もったいないということで、いまだ通読
していないようであります。まったくもってしょうがないこと。
この本には「長谷川さんの葉書」という文章がありまして、これを読んで、当方
の手元にある長谷川四郎さんからいただいた葉書を読み返してみようという気分に
なりました。
山田稔さんの文章には、小沢信男さんからの手紙が引用されていて、そこには次の
ようにあります。
「長谷川四郎さんの末期は、ペンも持てなくなってからも長いものでした。お手許の
ミミズの跡は、絶筆に近いものかも。河出の福島紀幸氏のところへ四郎関係はあつめ
ることにしています。もしお差し支えなければコピーを一枚、いただけませんか?」
長谷川さんの絶筆に近いというのは、いつごろのことだろうと思うことです。
ちなみに山田稔さんのところに届いた最後の葉書は「1979年8月3日消印のもの」と
ありまして、これはまだ筆跡がしっかりとしていて判読に問題はなしとのことです。
「ミミズの跡」のような筆跡の葉書というのは、長谷川さんのローマ字のサインを
見たことによるものか、それともそうした葉書を紛失したのかと書かれていました。
福島紀幸氏作成の年譜は全集の最終巻にありますが、これは生前の全集ですから、
年譜も途中までです。その後のものはごく簡単に河出からでた「道の手帖 長谷川
四郎」に掲載されています。

- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/08/21
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が、それを眼にすることができないのが残念です。
上記の本にある年譜から引用です。
1978年 六十九歳 軽い麻痺に見舞われ、ペンを持って書くことができなくなる。
1979年 七十歳 「山猫通信を夫人を相手に口述筆記で書きつづける。
1980年 七十一歳 「九つの物語」を青土社から刊行
1981年 七十二歳 西荻中央病院に入院。
1987年 七十八歳 四月十九日没
このあと、ずっとたっての2007年(没後二十年)十二月二十九日に奥様が九十三歳で
なくなったと記されていました。あと数日で、奥様の祥月命日となります。
このように「長谷川さんの葉書」を話題にするのも、なにかの縁でありますね。