1972年12月のメモから

 今年も終わりが見えてきましたが、このままでいきますと、今年の購書数は百冊に
届かないことになりそうです。これからあわてて、数合わせをしてもしょうがないで
すね。
 その昔に十二月のひと月で50冊近くも買ったことがあったなと、古い手帳に書いて
あるメモを取り出してきました。それは1972年12月のことでありました。今にいたる
まで読んでいないものもありますし、こんな本を購入したろうかというのもあるのが、
ご愛嬌であります。(あくまで買った本でありまして、読んだ本ではありません。)
この購書リストをみますと、けっこう良い本を買っているなというのと、ずいぶん資金
が豊富であるなと思います。(たぶん、正月に帰省することなく下宿にいましたので、
その分、本を買う金にあてられたのでしょう。)
 その一部を以下に掲げてみましょう。
 1 第一之書 ガルカンチュア物語     (白水社)    650円
 2 鴎外全集              (岩波書店)    1800円   
 3 感情教育              (岩波文庫)    150円
 4 レオナルド・ダビンチの手記 下   (岩波文庫)    150円
 5 邯鄲にて      篠田一士    (弘文堂)     600円
 6 渡辺一夫著作集           (筑摩書房)    2500円
 7 文字の文化史    藤枝晃    (岩波書店)     850円
 8 ロルカ詩集            (みすず書房)    280円
 9 セリーヌ             (中央公論社)    300円
 10 ボヴァリー夫人          (岩波文庫)     100円
 11 石川淳                   130円
 12 ベルリンの幼年時代               300円
 13 芸術論集 アラン               300円
 14 加藤周一     (芸術論集)         480円
 15 白ナイル     篠田一士訳   (筑摩書房)     350円
 16 桶物語              (岩波文庫)     100円
 17 なよたけ     加藤道夫               150円
 18 百年の孤独    マルケス     (新潮社)     800円
 19 梶井基次郎の手紙             160円
 20 ナルニア国物語           (岩波書店)    240円
 21 シチュアシオン  サルトル    (人文書院)     420円
 29 現代イギリス文学 篠田一士    (垂水書房)     250円
 30 日本国民の世界史             450円
 31 欧州紀行     埴谷雄高    (中公新書)     250円
 32 瀬戸内海汚染               180円
 33 イカロスの飛行  クノー      (筑摩書房)    700円
 34 第二之書              (白水社)     900円
 35 黒の過程     ユルスナール   (白水社)     700円
 36 三人の女     ムジール     (河出書房)    690円
 37 荷風の日記             (岩波書店)    850円
 38 子ねこのピッチ           (岩波書店)    180円
 39 海のおばけオーリー         (岩波書店)    180円
 40 ボードレール   ベンヤミン     (晶文社)    580円
   
 72年12月というのが、インパクトの強い月であったということが、このリストから
もおわかりいただけるでしょうか。大学3回生の時ですが、このころからほとんど読書
傾向がかわらないというのが、いやはやなんともです。