岩波文庫の新刊

 岩波文庫は、二ヶ月連続してブッツァーティが新刊で登場です。
 このように二ヶ月同じ作家のものが続けてでるというのは、岩波文庫では珍しいの
ではないでしょうか。

 これは手にしただけで、なかはいまだに読むことができていないのですが、最近の
岩波文庫には感謝であります。
 「タタール人の砂漠」は、かって文学全集のなかに収録されているもので読んだの
ですが、この全集端本は、いまも比較的安価で入手かのうであったと思いますが、
それとくらべると「七人の使者」の河出書房版は、モダンクラシックシリーズのなか
でも有数の入手困難本となっていたようです。
 岩波文庫版「七人の使者・神を見た犬」の訳者あとがきを見ていましたら、付記に
次のようにありました。
「本書は、1974年、最初に河出書房新社から『七人の使者 ブッツァーティ短編集』と
題して、拙訳により刊行され、1990年に、同じく河出書房新社から新装版が再刊された
が、今回、岩波文庫の一冊として刊行されるに当たり、河出書房社版に収録されていた
『Lで始まるもの』は割愛し、旧版に少し手を加え、また『訳者解説』は書き改めた。」
 昨日に本を探していたのは、この「七人の使者」河出書房版でありました。たしか
あのへんの段ボール箱にはいっていたのにと思ったのですが、そこにはなくて、これの
捜索は中断しています。
「Lで始まるもの」は河出版「七人の使者」にあって、岩波文庫から割愛されたとのこと
です。この作品は、とても印象に残るもので、ほかの多くは忘れているのに、これはと
いうようなものです。そうしたことがこの作品の割愛につながったのでしょうか。
この「Lで始まるもの」を日本語で読もうとしたら、いよいよ河出版を確保しなくては
いけないのでしょうかね。