ブックオフで 2

 先日にブックオフへと立ち寄ったときに、どうしてこんな本がここにあるのだろう
と思って驚いた話を記しましたが、本日は購入したものの話であります。
 108円のシールがはられて未来社の本がありました。東方の行く店で未来社の本は
あまり見かけないものなので、これを手にしました。

花の別れ―田村秋子とわたし

花の別れ―田村秋子とわたし

 豊田正子さんという方は、こどもの頃の作文で有名で、そのあとに作家となった
かたでありますが、「田村秋子とわたし」とはどういうことだろうかと思ったので
あります。最初に「田村秋子」という名前を見たときには、この方は文学賞に名前を
残した人だなと思ったのですが、これはもちろん勘違いでありまして、こちらのほう
田村俊子さんでした。
 立ち見でなかをのぞいたら、集合写真が扉の次にありましてそれには田村秋子さん
を中心に、左に女優の南美江さん、右に豊田正子さんがうつっておりました。
田村秋子さんは、新劇の名女優さんとあります。豊田さんがその舞台を見ていないと
いうのですから、当方が知らなくとも不思議ではないことです。
 田村秋子さんに対する関心よりも、この豊田さんへの興味で購入を決めたようです。
「そのあと、私の前に左翼作家Eがあらわれた。ここで私は、すこし利口な人間なら
絶対にしないであろう結婚をした。Eとは年が三十以上離れていた。二十八と六十
だった。左翼作家Eの豊富な左翼的言葉は、無学無思想の私を、幸福な夢の世界にさ
そいこむのに充分だった。」
 ネットで検索すれば、このEなる作家の名前はでてくるのですが、こういう時代で
ありました。
 同じブックオフで文庫棚を見ていましたら、豊田正子さんを一躍有名にした「綴方
教室」がありました。同じ方が手放したのかどうかですが、あわせて購入となりま
した。
新編 綴方教室 (岩波文庫)

新編 綴方教室 (岩波文庫)

 これは岩波文庫青帯でありますから、文学ではなく教育実践の記録となるようです。
この本がでたのは、1995年7月であります。ちょうど20年前になるのですね。
編者による解説には、次のようにありです。
「本稿執筆中、衆議院で採決された戦後五十年にあたっての『国会決議』の内容が
問われている。そこには侵略や植民地化の事実とそれに対する反省、アジア諸国の人
たちへの謝罪が欠けており、アジア各国から、日本は反省と謝罪のほとんど最後の
機会を逸したとの批判が起こっている。」
 この時には、戦後五十年という大きな節目でありましたので、「国会決議」がな
されたということを、あらためて知りました。
 現在の状況については、なにおかいわんやであります。