痕跡本の世界

 豊崎社長おすすめの「痕跡本の世界」を購入しました。

 古本の世界では、傍線がひかれているとか書き込みがされている本というのは、
著しく価値を減じることになります。
 例外は著名な方が、その行為をしているときとなります。作者自らが自著に、次の
版のための書き込みなどをしているとすれば、これを貴重な資料として高い値で求め
る人もいますでしょうし、作者の献呈署名などを喜ぶ人もいるようです。
 痕跡本を話題としている古沢さんという方は、お若い古本屋さんでありますが、大学
在学中に「痕跡本」に目覚めたとありますので、まさに新しい価値の創造ですね。
まあ、これが古本屋という商売につながったかどうかは別の話でありますが、これの
収集を通じて著作をものにしたというのが立派なことです。
 長く古本と接していましたら、程度の差はあるものの、痕跡本に出合うものですが、
これを収集の対象にしようなどどは考えたこともありませんでした。(普通はそうで
しょう。)
 当方が拙ブログで出合った痕跡本に言及しているところは、いくつもないでしょう
が、思いだしたのは、以下のところでした。
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20070830
 しかし痕跡本を集めるというのは、本のジャンルを問わずでありまして、しかも、
「痕跡を読むときにはリアルを追求せず、物語は『妄想』で留めておいた方がいい」
のは、達人のことばでありますね。