札幌つながりで

 小学館文庫の新刊をなんとか購入しました。
 最初にいった全国チェーンの店は、小学館文庫の新刊のうち一番うれそうなもの
だけがはいっていって、あとのものは姿がみえませんでした。たぶん、日頃の売れ
行きがよろしくないというコンピュータの判断によるものでしょう。
 店をかえて比較的文庫の新刊がよくはいってくる店にうつりましたら、こちらに
は、小学館文庫の新刊が各二冊ずつもはいっていました。売れないだろうから、
各二冊も配本がなくてもいいなと思いながら、ありがたく買わせていただきました。

未だ王化に染はず (小学館文庫)

未だ王化に染はず (小学館文庫)

書くインタビュー 1 (小学館文庫)

書くインタビュー 1 (小学館文庫)

書くインタビュー 2 (小学館文庫)

書くインタビュー 2 (小学館文庫)

 そういえば、中原清一郎さんと佐藤正午さんは札幌つながりということになりま
すね。時期はまったくかぶることはないのですが、中原さんは高校まで札幌で、
佐藤正午さんは大学が札幌でありました。
 札幌つながりかと思いながら、文庫新刊棚を見ていましたら、あと一冊札幌に
つながるものを発見です。
赦す人: 団鬼六伝 (新潮文庫)

赦す人: 団鬼六伝 (新潮文庫)

 札幌につながりは、著者の大崎善生さんです。なんと中原清一郎さんの高校の後輩
になるということです。作家としての知名度は中原さんよりも大崎さんのほうが上で
あるかもしれません。
 もともとは将棋雑誌の編集長さんから作家に転じた方ですが、デビューしたのは
将棋の世界に題材をとったものでしたが、最近は幅広いテーマで創作活動を続けて
います。
 今回の作品は、破滅型とも思われる作家「団鬼六」についての評伝です。
団鬼六さんは将棋の世界に深くかかわった人でありまして、「将棋ジャーナル」と
いう雑誌の刊行を引き受けたり、「真剣師 小池重明」についての著作を残すほか、
将棋界のパトロンのお一人でありました。
 団鬼六という人物を、将棋の世界からのアプローチで描いているのですが、底が
抜けたような、その生き方はとうてい凡人にはまねができるものではありません。
冒頭のところをすこし目にしたところですが、団鬼六さんの母親の関係で、国木田
虎雄とか直木三十五の名前が登場し、虎雄の孫である国木田アコの名前がでるに
及んで、事実は小説よりも奇なりだなと思った次第です。
 これはしばらく楽しむことができそうです。