半額セール

 当方のところに毎月届く中野書店「古本倶楽部」281号は、表紙に「感謝をこめて
半額!」と赤字で記されています。これまでも目録の部分で割り引きセールをしていた
ことはありますが、一冊まるごとで半額セールというのは、初めてのことのように思い
ます。
 今回の目録に掲載されているのは12318点です。
「目録に掲載されている全ての書籍は、十一月三十日まで表示価格の半額にて販売いた
します。」とありました。
 いつもでありましたら、高額の書籍のところはほとんど通過するのでありますが、
今回はなんとなく購入できそうな気分となって、すこし時間をかけて見てしまうことに
なりです。
 当方の関心領域にあって値段が高いもの(表示価格)としては、次のものがありまし
た。
 凧 小島信夫 限60 帙函付 昭30 墨署名入 書肆ユリイカ 189,000円 
 小島信夫さんは、最近ファンが増えているようでありまして、本日の新聞広告には
水声社の「小島信夫短編集成」全8巻がでていました。この会社はすでに「批評集成」
全8巻を刊行済とのことですから、小島信夫ファンは、これらを買い支えているので
しょうね。水声社の広告には、「アマゾンでは販売していません」と書かれています。

小島信夫批評集成〈1〉現代文学の進退

小島信夫批評集成〈1〉現代文学の進退

(たしかに、「短編集成」はアマゾンであがってはきますが、入荷未定となっていて、
販売されていません。「批評集成」が刊行されていたときは新刊で販売されていた
ようです。これでやっかいなのは、中古本となったときでありますね。新刊では買う
ことができない「短編集成」も中古になったら、アマゾンネットに参加している本屋
さんで購入することができるようになるのでしょう。)
 あちこちで出版社とアマゾンで火花を散らしているのですが、大手の出版社は折り
合いをつけているようにみえますが、ごく一部でアマゾンに反旗を翻すところがあり
です。アマゾンに頼らなくては生きてはいけないような社会は困ります。
 老舗の中野書店が目録で半額セールなどをするというのも、アマゾン、ブックオフ
と最近の本離れが影響しているのでしょう。
 189,000円では買うことができないが、半額ならこれを買うというのはユリイカ本の
コレクターでしょうか、それとも小島信夫さんのファンでしょうか。