朝にうっすら雪

 昨夜から雪が降るとの予報でありましたが、朝起きてみましたら、うっすらと白く
なっていました。この時期の雪は積もるところまでいかず、すぐに消えてしまいます。
冬と春とのせめぎあいですが、春のほうがだいぶん優勢であります。
 連日楽しんでいる大相撲大阪場所は、残りが四日となって十両から落ちる人と幕下
からあがる人のせめぎ合いが最終コーナーをまわりました。年をとった力士たちに
とっては現状維持するだけでも、大変な努力を必要とするということがよくわかりま
す。冬も春を押し戻そうとしたら、相当にがんばらなくてはです。
 相撲が終わったら、もっと本を読む時間ができるだろうかと思いながら、本日は
先日に続いて「田中克彦自伝」を読むことになりです。
なんといっても、田中克彦さんの魅力は「反骨のへそまがり」なところでありましょ
うか。「自伝」からの引用であります。
「ぼくがモンゴル語科を選んだ理由は、他の学科の案内に比べて最も学問への道を
強調していることだった。就職に有利だとか、そんなはしたないことは書いてなかっ
た。書こうにも書けなかったからであろう。・・・モンゴル語とは対照的に、もうか
る商業言語であることを強調して目立っていたのはスペイン語である。スペイン語
入った学生の話によると、最初のあいさつ、ガイダンスをやった教授が、スペイン語
を出た以上、成功者にならなくてはならない。成功者とは自分の家を持っていること
はもちろん、まず運転手つきの車を持たなければならない等々と話したということだ。
なんという下品な学科だど思った。」
 最近の大学は、いかに就職に有利であるか、会社社会に有用な人材を送り出すかを
競っているのですが、時代が今から60年も昔の東京外語には、こういう雰囲気があっ
たのでしょうね。
 当時は、モンゴル語を勉強しても、モンゴルという国との間で国交もなかったわけ
でありますから、国内にいては、ほとんど学問世界以外でモンゴル語を使う場面は
なかったことでしょう。
 それと比べると、大相撲のモンゴル出身の力士たちの活躍もあって、モンゴルとい
うのをずいぶんと身近に感じるようになっていることです。しかし相撲の世界にくる
モンゴルの若者たちは、見事に日本語を使うことでありまして、この世界でもモンゴ
ル語通訳は必要なしのようです。