旅の友

 本日は久しぶりに列車に乗って移動しました。この時期でありますので、特急列車は
こんでいる事が予想されましたので、行きは普通列車にのって、帰りは急行で戻るとい
うことになりました。
 この選択が幸いして、往復ともになんとか座る事ができて、ゆっくりと居眠りをしな
がら文庫本を開く事ができました。普通列車を利用したとしても1時間とすこしであり
ますのに、途中駅であとからきたより速い快速列車に乗り移る人もいて、そんなに急い
でいかなくてもと思ったことです。
 今回の旅の友は、昨日まで読んでいた「遠い崖」14巻でありますが、これがけっこう
興味深くて、ページが進むのに驚きです。このシリーズが出始めた頃に、最初の二冊を
購入して、難渋して二冊目の途中くらいでその先に進むことができずでいたのですが、
先日にブックオフで、思い切って最終巻を購入して、それを手始めにまた読み進めよう
と思ったのですが、これは良かったのかもしれません。あまり時系列にとらわれずに、
登場する時代なり話題で、興味があるところを読めばいいのかと、なんとなくこの
シリーズの読み方がわかってきたような感じです。
 アーネスト・サトウさんは、何よりも日本文化の紹介者でありますので、そうした
ところに触れているところを拾い読みです。
「当地でいろいろ探し回ったあげく、朝鮮で印刷された本の、かなりよいコレクション
を作りあげました。主として漢籍ですが、その多くは活字、それも金属製の活字で印刷
されたものです。朝鮮ではこの金属製活字を、この技術がヨーロッパで発明される数年
前に使用していたようです。・・・大英博物館はわたしのコレクションを購入すべきで
すね。」
 こうしたサトウの書簡を受けて、萩原さんは、次のように書いています。
「サトウはこの二つの論文において、たんなる愛書家にとどまらず、書誌学者の風貌を
しめしているが、筆者はこの方面にくらいので、その内容に立ち入ることは差しひかえ」
です。
 サトウという人は、外交官でありますが、「日本の初期の印刷の歴史」とか「朝鮮の
活字と日本の初期の印刷物についての補足」なんて論文を発表しているのでした。