本日もブックオフへ 2

 昨日に引き続きで朝日文庫版「遠い崖」についてであります。これは元々朝日新聞
連載されたものをまとめたのですが、新聞の連載は相当の期間に及んだはずです。
( 検索をしてみましたら、1976年から90年にかけて断続的に連載とありました。)
 当方は、新聞小説で相当に話題となったものであっても、連載中に読むことはほとん
ど皆無でありまして、自分が購読している新聞に連載のものであっても、完結して
単行本となってから読むことにしています。仕事にいく通勤時間に新聞小説を読むと
いうような生活になれば、欠かさずに読むようになるのでありましょう。
 歴史に疎いことから、「遠い崖」の主人公は英国と日本のハーフとなる佐藤さんで
あると、ずっと思っていたのですから、おめでたいことです。この本での名前の表記は
サトウとなっていますので、Satoさんかなと思っていましたら、正式には、Satowさん
とのことです。
 それにしても萩原延壽さんは、人生の大半をこの著作のために費やしたような印象
がありです。いまとなっては、どこで見たものやらですが、たしか石川淳さんとの対談
の時に、萩原さんは石川さんから名前のいわれを聞かれて、答えているのを見たこと
がありました。石川淳さんは、その答えを聞いて、名前を見てすぐにそうだろうと
思ったといっているのですが、最近の人は、「延壽」という名前を聞いても、特になに
も思い浮かべる事はないでありましょう。
 もちろん、これは清元延壽太夫からいただいた名前なのだそうです。それこそ、東京
浅草に生まれた人にふさわしい名前だというようなことを石川淳さんは言っていたよう
に思います。