考える人 文庫特集 9

 本日に物置でさがしものをしていましたら、「新潮文庫解説目録1978年」がでてきま
した。78年といえば、いまから35年ほども昔のものとなります。今のものとどう違うか
なと思いながら、なかをぱらぱらとのぞいてみました。
 新潮文庫ちくま文庫とか中公文庫がやった個人全集の文庫化は行っていないので
ありますが、作品集といっても良いようなまとまったものがありました。
いまの解説目録には、何冊のこっているのかわかりませんが、この解説で目をひいた
のは、サマセット・モームのものですね。
 この78年解説目録には21タイトルが掲載されています。この時代は、よほどモーム
人気があったものと思われます。このなかで残念ながら当方が読んだのは次のものだけ
であります。

人間の絆 (1) (新潮文庫)

人間の絆 (1) (新潮文庫)

 この時代の新潮文庫「人間の絆」は四分冊でありました。比較的長いものを読むこと
を楽しみにしていましたので、これを手にしたのでしょう。モームに限らず英国ものに
は翻訳者のところに中野好夫さんの名前がたくさん登場しますが、影響力の大きさを
感じることです。
「人間の絆」は、いまは岩波文庫で読む事ができるようでありますが、なかなか読み
返すことはできません。
 これのずっとあとになって、めったにないこと新潮文庫からシリーズででた作品を
わりとよく読んだことがありました。新潮文庫翻訳物との付き合いは、あのあたりで
終わったでしょうか。
ケインとアベル (上) (新潮文庫)

ケインとアベル (上) (新潮文庫)

 78年の解説目録には「百万ドルを取り返せ」が掲載されていますが、このあとに続々
と小説を発表して、ベストセラー作家となり、過去の借金を返済して、再度政治の
世界に戻りました。当方は、85年くらいまでは新潮文庫ででたものを読んでいたよう
ですが、そのあとは、まったく縁がなくなってしまいました。