考える人 文庫特集 

 久しぶりに「考える人」を購入しました。巻末にバックナンバーのリストがありまし
て、それを見ますと、ここに掲載の過去3年分は、まったく購入していませんので、
ずいぶんと久しぶりの購入です。前号の特集は「海外児童文学ふたたび」であります
ので、これなど購入していても不思議ではないのですが、最近は行きつけの本屋がなく
なっているために、目にすることができていないのでありましょう。

考える人 2014年夏号

考える人 2014年夏号

 2014年夏号で「文庫」の特集をするには、わけがあります。新潮文庫と名付けられた
「叢書」が1914年に創刊されたからであります。
 今回の文庫特集とは、新潮文庫百年記念となるわけです。
第一次世界大戦がはじまった1914(大正3)年、最初の新潮文庫が刊行された、以来
100年、形を変えながらも読みつがれてきた”文庫のパイオニア”の変遷をたどる。」と
いうのが、この特集の趣旨であります。
 百年前にでた最初の新潮文庫というのは3年間で43点を刊行して途絶えたとあります
し、装丁も、現在の新潮文庫とはまるで違っていますので、「新潮文庫」という名前
以外にあまりつながりを感じることはできません。
 その後、1928(昭和3)年からの第二期は1年半で途絶えたとありますので、新潮文
庫は苦難の道を歩いていることがわかります。
 当方が初めて手にしたのは、1933(昭和8)年から1944(昭和19)年にかけて刊行
された第三期新潮文庫でありますが、これを見ると、今とはデザインは違うものの、
新潮文庫とわかります。
 最初に手にした新潮文庫はなんであるだろうかと、考えているのですが、これはもちろ
ん自分が購入したものではなく、家にあったものです。
赤い鳥傑作集 (新潮文庫 つ 1-7)

赤い鳥傑作集 (新潮文庫 つ 1-7)

 こうして書影がでてくることに驚きです。坪田譲治さんの選によるものであったのです
ね。今も、当方のところか亡父のところにあるような気がしますが、もちろんその本は、
文庫カバーがとれて、ページのあちこちがまるまっているような状態になっているはず
です。
 小学校3年生くらいのときに手にして、そのなかにある一つの詩のところだけを何度か
見た記憶がありです。記憶に残っているフレーズで検索をかけてみましたら、それは
北原白秋の、次のものであるようです。すでに50数年も前のことですが、ネットの検索
がなければ、本を手にして確認するしかなかった。本を買うのもネット経由でありますで
しょうからして、ちょっと便利すぎるかな。

お月夜  北原 白秋 作詞

 ト ン  ト ン  ト ン
 あけてください どなたです
 わたしゃ 木の葉よ
 ト ン  コ ト リ

 ト ン  ト ン  ト ン
 あけてください どなたです
 わたしゃ 風 です
 ト ン  コ ト リ

 ト ン  ト ン  ト ン
 あけてください どなたです
 月のかげです
 ト ン  コ ト リ