庄野潤三追悼

 作家の庄野潤三さんが、先月に亡くなりました。当方は、庄野さんのあまり良い
読者といえませんが、このブログでもなんどか言及し、気になる作家の一人では
ありました。
今回記するにあたって、拙ブログでの過去ログを検索してみましたが、一番最初に
登場するのは、07年2月 みすず読書アンケートを話題としたとき、山田稔さんが、
庄野さんの「文学交友録」(新潮文庫)を06年の収穫としてあげているのを見た
からでありました。
 先月にでた庄野潤三新潮文庫新刊のカバーを見ましたら、ここには「文学交友録」
の書名がありません。それはないだろうと思いますが、今回庄野さんが亡くなった
ことで、きっと復刊するのでありましょう。復刊への期待を込めて、以下の書影を
掲載しておきましょう。

文学交友録 (新潮文庫)

文学交友録 (新潮文庫)

 庄野さんは、ここ十年ほどは夫婦二人くらしい題材をとった作品を発表し、それが
文庫となって新たな読者を獲得していたようです。先月に出た文庫本は、元版は平成
17年4月に刊行されたものですから、刊行時、作者84歳でした。
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 この本の帯には、次の宣伝文があります。
「 ここには夫婦の晩年の理想の生活がある。
  幸福への祈りと感謝をこめて描く話題の文庫最新刊」

 庄野さんは、当方の亡父とほぼ同年でありまして、夫婦の年齢差とか子供の年格好
もほぼ同じであります。庄野さんの晩年の作品を見て一番感じるのは、当方の親も、
老年に足を踏み入れつつある子供たちのことを、庄野さんと同じ様に感じていたのかと
思うことでありまして、老いた親の気持ちをどれだけわかっていたのかと、すこしは
反省するのでありました。