楽しみな五月 6

 五月のお楽しみであった「脈」80号 「特集 作家・川崎彰彦」を入手することが
できました。
 どうして「脈」という個人雑誌が、川崎彰彦さんの特集をするにいたったかは、発行
人で編集を一人で行っている比嘉加津夫さんが、編集後記に書いています。川崎さんに
関するものが大阪以外ででるというのは、とっても意味があることです。
 川崎さんの作品が、編集工房ノアではなく東京から出版されたことに意味があると
いったノア主人 涸澤さんにならっていえば、関西の文学学校関連や同人誌関係でない
ものが、川崎彰彦さんに注目し、特集を行ったところに意味がありでしょう。
 編集後記には「当のわたし自身、あまりにも川崎彰彦に対して無知であり過ぎたと
いうことによる。・・大阪文学学校の機関誌『樹林』と同人誌『黄色い潜水艦』が
それぞれ川崎さんの追悼号を組んでいるにもかかわらず、そのことすら知らなかった
ことである。」とあります。
 比嘉さんは、川崎彰彦さんの小説を読んだことで、ほとんど予備知識もなしに、
この作家のことを取り上げて特集を作ろうと思ったようであります。それにしても、
作品の持っている力の強さでありましょう。
 この特集にある中尾務さんの文章は川崎彰彦さんの同人誌から派生した太田順三さん
が主宰した「雑記」というものに関してでありました。中尾さんは、川崎さんの特集と
いいながら、川崎さんではなく分派の主導者である太田順三さんの雑誌と作品について
記していくのです。中尾さんは、「川崎さんは、近年とみに再評価の機運があがって
いる佐藤泰志よりも太田を買っていることだけをいっておきたい。」といって、太田の
作品を読んで、関心のある人は作品のコピーサービスをするので、自分で読んで判断し
てもらいたいとまで記しています。
 これに反応して早速コピーサービスを申し込んだのが、ご自身も「脈」の川崎特集に
寄稿している「SUMUS林哲夫さんであります。
 http://sumus2013.exblog.jp/22114666/ 
 太田順三さんという名前が急に頭のなかに場所をしめるようになりました。
 そう思っていたところ、風の便りに太田順三さんが亡くなったとの知らせが伝わって
きました。この便りは本当なのでありましょうか。