楽しみな五月 4

 楽しみな五月ということで、今月に入手が期待されるリトルマガジンのことを話題と
しましたが、なんとか無事に入手することができました。これはうれしい話であります
が、もう一方では松山俊太郎さんに続いて、映画監督の鈴木則文さんが亡くなるという
ニュースがありました。
 鈴木さんは、昨年末には「ちくま」に連載した「東映ゲリラ戦記」が刊行され、
年明けには「新トラック野郎風雲録」がちくま文庫となったばかりでありました。
それにしても急なことでありまして、まったく驚きました。

東映ゲリラ戦記 (単行本)

東映ゲリラ戦記 (単行本)

 亡くなる前に、このように本をまとめることができただけでもよかったでしょうか。
ご冥福を祈ります。
 今月の中旬には「本の雑誌」も手にすることができました。
 これで目についたのは、後藤明生さんの名前であります。
「思いついて三点の入院本をとどけてもらった。なかでも情報量もおおく、いちばん
読みごたえがあったのが後藤明生の『メメント・モリ』である。」
メメント・モリ―私の食道手術体験

メメント・モリ―私の食道手術体験

 このように書いているのは、津野海太郎さんでありまして、はじめて入院することに
なり、入院に関した本をいくつか読んだなかでの話であります。
 この津野さんの「百歳までの読書術」の次のページは、坪内祐三さんの「読書日記」
となりますが、この坪内さんのページには、以下のようにありです。
「ずっと探していた(ただしネットでは買いたくない)後藤明生の『大いなる矛盾』
(小沢書店 昭和五十年)を見つける。(これで後藤氏のエッセイや評論集はコンプ
リートだ ひょっとして小説もコンプリートしているかもしれない。)」
 「本の雑誌」に連載をもっている津野、坪内というお二人が、後藤明生という
バトンをわたしてのリレーのようにも感じることです。それにしても後藤明生さん
の古書価があがっているのがわかるように思いました。