本日もまた

 本日も昨日に引き続きで古山高麗雄さんの「片乞い紀行」と後藤明生さんの作品集
を手にして、両方の本をいったりきたりでありました。そういえば、このお二人は
ともに日本統治下の北朝鮮で生まれたという共通点があるのでした。
高麗雄さんという名前は、まさに半島とのつながりを感じることです。明生という
名前も、それにつながっていればよろしですが、そういうことはないのでしょう。
(明生という四股名の大相撲力士がいまして、本日の番付編成で再び十両にあがるこ
ととなったそうです。この力士は、本名が川畑明生というのだそうです。明生つなが
りでありまして、がんばってほしいものです。)
 本日読んでいた「片乞い紀行」には、後藤明生さんが登場します。
「(浅草へは)十年ぐらい前までは、しばしば足を運んだものだ。ここ六、七年間は、
一度も、あるいは年に一度ぐらいしか、浅草には行ったことがない。先般、後藤明生
氏の出版記念会が雷門のちんやというすき焼き屋で催されたので出かけて行ったが、
ああ何年ぶりかなあ、という感慨があった。」
 この「片乞い紀行」は、交通公社が刊行している「旅」に連載されたものを一冊に
したものとのことですが、元版が出版されたのは昭和50年とありますので、上に引用
したなかにある「後藤明生氏の出版記念会」というのは、どの本の時であったので
しょう。
 この記念会には「藤枝静男小島信夫、森敦、『文藝』編集長 寺田博」が出席
していたとありです。藤枝さんがわざわざ上京して出席なのですから、これはやはり
後藤さんの代表作である「挟み撃ち」(1973年)の時でしょうか。