旅先で読んだ新聞といえば、ガルシア・マルケスの訃報記事であります。
当方はラジオのニュースで亡くなったことを知ったのですが、たまたま見る事が
出来たのは、朝日新聞でありました。死亡記事は18日夕刊でしたが、そのフォローの
記事が翌19日朝刊にありました。
京都で、この朝刊をみましたら池澤夏樹さんが追悼文がありまして、それがさすが
池澤さんというようなものでありましたので、これを帰ってきてから再確認するのを
楽しみとしておりました。
なんといっても池澤夏樹さんは、優れた読み手でありますからね。
池澤さんが「百年の孤独」を詳細に論じたものは、次の著作にあります。
- 作者: 池澤夏樹
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1999/08
- メディア: 単行本
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います。インタビューをしているSwitch編集長の新井敏記さんが、この池澤さんによる
「百年の孤独」の読み解きについて、次のようにまとめています。
「『ブッキッシュな世界像』を読むと、例えばマルケスの小説、『百年の孤独』そのも
のを非常に細部にわたって解読している。構造を解剖してマルケスの小説の醍醐味に
迫る、注をつけていくように文体から家系、背景の諸相を探る方法。世界文学の流れの
中でマルケスを意識するという想いはある意味で、小説家としての職業意識ではないで
しょうか。」
これを受けた発言のなかで、池澤さんは、次のようにいっています。
「ぼくは非常にラッキーなことに、『百年の孤独』をずいぶんと早い段階で、日本語の
翻訳が出る前に読んでいた。そして、『そうか、こういうやり方で小説がまたぐいぐい
伸びるということがあるんだな。』と、ほとほと感心した。
その次に、しかしやっぱりあれはラテンの国々という場があって、そこから湧いて
出たもので、例えばそのまま日本に持ってきて、やれるというものではないと感じた。
それは世界中でみんながあの本を読んでそう思ったと思う。・・特に小説を書こうと
思ってる奴はそう思った。こういう手段があった、しかし自分の土地では即そのまま
できないし、物真似してもしょうがない、しかしとにかく、ジョイス、プルーストで
完成したように見えた小説が全然別の方へまたぐいぐい伸び始めたっていう驚きは
あったと思います。トンネルの出口が見えた。」
すこし長い引用になりました。
当方は、以前にも記したかと思いますが、篠田一士さん(篠田さんの命日は4月
13日でありました。)の紹介記事を目にして「百年の孤独」を読みました。あの
小説を夜を徹して読み上げた時のことは、いまも忘れることができません。
フランスのヌーボーロマンなどにはなじむことができなかった当方は、こういう
小説を待っていたと、純粋読者として喝采をあげたことです。