旅で買った本 2

 あと一冊は、次のものでありました。

 先月の上巻に引き続きで、今月には下巻で、これで完結です。これを文庫にすると
いうのは、岩波にしかできないことでしょうか。
なによりも、訳者による解説やあとがきが充実であります。あとは、この上下巻を
読むだけですが、これはなかなか容易なことではありません。
 この下巻の岩崎力さんのあとがきを見ていましたら、「ヴァルボワにも行かなきゃ
ね」という会話が眼にはいりました。
「ヴァルボワ」に反応したわけですが、ここはヴァレリーラルボーにゆかりの地で
あるようです。
 そういえば、訳者の岩崎力さんには、この地名を冠した著作がありました。
ヴァルボワまで―現代文学へのオベリスク

ヴァルボワまで―現代文学へのオベリスク

 どういうわけか、この本を古本屋で購入しておりました。古本市かで購入したので
ありましょう。本には、横浜の目黒書店のシールがはられています。東京で暮らして
いたときにデパートで開催の市で見つけたのでしょう。当方は、岩崎力さんは、
ユルスナールの「黒の過程」の訳者として刷り込まれていました。今から数年前に
京都にいったおり、一乗寺恵文社を訪れたときに、新刊でこの本が売られていたの
をみたのは驚きでした。
 岩崎さんの「ヴァルボワまで」を手にしたとき、ヴァレリーラルボーのもので
目にしていたのは、74年1月から5月にかけて「ちくま」に連載されたのみでありま
した。いまではみすず書房から刊行されている「罰せられざる悪徳・読書」であり
ますが、もともとは76年に「コーベブックス」から刊行されたものです。
罰せられざる悪徳・読書 (1976年)

罰せられざる悪徳・読書 (1976年)

 本日まで、まったく気づいておりませんでしたが、雪華社から「ヴァルボワまで」
を刊行した担当編集者は、かってコーベブックスにいた渡辺一考さんでありました。
このことが記されているあとがきくらい読んでいるはずですが、すっかり忘れて
いました。