「図書」4月号

 帰宅したら岩波「図書」4月号が届いておりました。当方のところに本日届くと
いうことは、首都圏には数日前に届いているのでしょうね。これで「ちくま」、「波」
「一冊の本」とそろいました。
 まずは「図書」から話題をいただきです。
 表紙に採用されているのは、アラン・フルニエ「ル・グラン・モーヌ」の初版表紙と
なります。このところの表紙は、本の表紙がつかわれていますが、それも岩波百年に
あわせて百にちなんだ本であります。「ル・グラン・モーヌ」のどこが百にちなんでい
るのかというと、この本が1913年に刊行されていたからで、これは岩波開業と同じ年で
のことでありました。
 表紙を構成している宮下志朗さんによりますと、1913年というのはプルーストの第一
巻「スワン家のほうへ」のほか、ヴァレリーラルボー「A・O・バルナブース全集」も
刊行になったのだそうです。他の年のことはわかりませんが、日本でも翻訳がなされて
いる小説が、このようにたくさん発表された年というのは、珍しいのではないでしょう
か。
 この時代、すでに「ゴンクール賞」というのははじまっていて、プルーストの作品は
この賞の候補作にすらなっていないとのことです。
「ル・グラン・モーヌ」と「A・O・バルナブース全集」は候補にはなったものの、どち
らも受賞をのがしています。となると、受賞作品はよほどすごいものだろうと思います
が、これがマルク・エルデール「海の人々」という作品で、すくなくとも当方は作者も
作品も知りませんです。
「ル・グラン・モーヌ」は、長谷川四郎さんも翻訳をしていているほか、かっては文庫
にも収録されていて容易に読むことができますが、今は翻訳が入手困難な一冊となって
いる「A・O・バルナブース全集」の元版の書影を見てみたかったことです。
こちらのほうも、刊行百年ということで、国内で復刊しないでしょうかね。