先日は手が出なかった後藤明生さんの小説でありますが、過去にも後藤さんのこと
を話題としていました。やっぱり気になる作家さんなのですね。
( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080518 から何日かとなります。)
近畿大学文芸学部の先生となったことで後藤さんは、大阪に移り住むことになり
ます。大学は東大阪市でありますが、お住まいは天王寺界隈とあります。
前にも引用しているくだりを再掲です。
「私は、旧植民地生まれのコスモポリテースで、日本中どこへいっても、根無し草
である。私はこれを、偶然の場所への漂着者であると自称して、そのときそのとき
漂着した場所を、これまで作品に書き残してきた。移住地を作品の場所とする点で、
私は荷風型ではなくて、谷崎型であるかもしれない。」
後藤さんは、現在の北朝鮮にて生まれたのでありますから、敗戦後に日本に引き上げ
た時点で、ふるさとを喪うことになります。それからは上に引用したようなことになる
のですが、後藤さんにとって大阪というのは、居心地がよかったのではないでしょうか。
大阪の天王寺から東大阪にかけての地域というのは朝鮮半島から移住された方々が
多く住んでいるところで、そうしたなかで連作集が編まれました。
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