今年、話題の本

 おくればせながら、今年話題となった本を手にしました。
本の雑誌」の「私のベスト3」でも嵐山光三郎さん、壹岐真也さんのお二人が、この
本をあげています。

夢でまた逢えたら

夢でまた逢えたら

 亀和田武さんは、「朝日新聞」の読書欄にありました「亀和田武のマガジンウオッチ」
とか、「本の雑誌」への寄稿で名前は承知しておりましたが、TVのコメンテーターをし
ていたというのは、今回はじめて知りました。ワイドショーをやっている時間にTVを
見るような習慣はありませんでしたからして。
 亀和田さんは、当方よりも学年で二学年上でありますが、「二浪して一年留年」とあ
りますので、大学を卒業したのは、当方と同じ年でありました。当方の周りにもいた
だろうかな年上の同学年で、かっては学生運動も熱心にやっていたというような人で
あります。いまさら、固い仕事につくなんてことやっていられないと、アルバイト先の

学習塾に就職したとか、業界紙とか小さな広告会社にもぐりこんだというようなことが
聞こえてきたものです。
 もともと当方のまわりにいた人は、ほとんど就職活動では負け組のような人ばかりで
ありまして、亀和田さんの職歴などを見ますと、親近感を感じることであります。
目黒考二と初めてあったのは、ハイセイコーが地方の大井から中央競馬に移籍し、
空前の競馬ブームが到来したその翌年だがら、1974(昭和49)年の秋だ。
 大学を卒業したのが、その年の三月だった。ようやく採用された栃木の地方紙を
試用期間なかばで辞めた。東京に戻って、卒業間際にアルバイトしていた編集プロダク
ションでマスコミ周辺の雑用仕事を再び始めてみたが、これも長続きしなかった。」
 この時には、すでに25歳でありますからして、いつまでそんな生活をしているのよと
口うるさい親がいわれたらいわれそうであります。
 これに続いてのくだりがよろしです。
「活字の周辺で仕事をしたいけど、大手、中堅の出版社に入れる学歴もなければ、それ
に代るような気力や実力の持ち合わせもない。そうしたタイプの若者が仕事を見つける
としたら、業界紙娯楽誌しかない。娯楽誌というと聞こえはよいが、要するにエロが
売りの俗悪実話誌である。」
 エロ系雑誌の編集者からライターを経て名をなしている、その代表が亀和田さんで
ありますが、エロ系の世界から抜け出るというのは、相当に大変であるようです。