本日の話題 5

 昨日に手にしていました斎藤貴男さんの「非国民のすすめ」の巻頭におかれた文章は
「なぜこんな国になってしまったのか」であります。
 本当にそうでありますよね。若い人たちが定職につくことができず、不安定で低賃金
となっているが、どうにもこうした隘路から抜け出ることができないのでありますから
して、将来に対する希望など持てるはずもありません。これは、若い人たちの自己責任
といえるような話ではないですね。その昔であれば、非効率の極みであった農村社会が
大家族というなかで、そうした若い人を養っていったのでありますが、農業から工業へ
というなかで、農村は解体され、次男、三男は工場労働者となり、職を得て高度成長を
支えたわけですね。工場で働くことによって、収入が保証され、老後は年金での生活が
可能となりました。
 今の都市生活者には、帰るべきふるさとがなく、仕事がないわけでありますから、
フリーターとして仕事を続けることができればまだしもですが、いつも生活不安を抱え
ることになってしまいます。これへのセーフティネットが公的社会保障とりもなおさず
生活保護制度でありますが、生活保護を受けるのはなまけものというキャンペーンが
繰り返されます。(もちろん働きたくなくて生活保護を申請するという、いかにも
キリギリス的な方もいるでしょう。しかし大半は、家族に支えて貰うことができず、
働くこともできずで申請にいたるわけです。)
 あっというまに滑り台をくだるように、すべてを失って階層移動が実現してしまう
世の中になっています。生活保護という制度は、自分には縁のないものであるという
のは、大半の市民にとっては錯覚であり、そう思いたいということでありましょう。