八尾からの便り 3

 今東光さんの小説は、これまで読んでおりませんが、参議院議員であったり、天台宗
の高僧であったりしたせいで、名前はしっかりと頭に残っています。弟さんも有名な方
でありましたからね。
 八尾の市民は、となりまちの東大阪市にお住まいであった小説家 司馬遼太郎さんと
くらべて、今東光さんに不満をもっているようですが、当方には地元を舞台とした作品
を残したことでは、地元への貢献では今東光さんのほうが上と思うのであります。
 「悪名」というと、勝新太郎田宮二郎によって映画化されていまして、小説よりも
そちらのほうでなじんでいる人が多いと思われます。これの映画化は昭和36年とありま
すので、日本映画にとって良い時代でありました。勝新太郎田宮二郎のコンビで作品
はシリーズ化され、全16作品が製作されたとのことです。田宮二郎にとっては出世作
なり、主演の勝新太郎は、これの撮影中に共演した中村玉緒と結婚になった作です。
 どうやら映画のほうは、枠組みのみを今東光作品から借りて、シリーズの大半は
オリジナル作品のようでありますので、八尾市民が迷惑しているとすれば、それは
シリーズ化された映画に対してでいうべきでありましょう。