生誕100年かな

 NHKをみていましたら番組の予告編というか宣伝がありまして、それは8月に連続
ドラマ化される「夫婦善哉」のものでありました。この原作の作者、織田作之助は今年
が生誕百年となるのだそうです。
 そういえば、岩波文庫 今月の新刊には「夫婦善哉 正・続」というのがありました。

 これを機会に「夫婦善哉」も読まなくてはと思うのですが、岩波文庫版はいまだに
入手するにいたっておりません。やっぱり注文しなくてはいけないかな。
 この作品の映像化といえば、古く1955年には映画化されています。なんとなくこの
映画作品は見ているような気分になっていますが、テレビで放送されたものを録画し
て、それっきりになっているようです。
 本日に、小林信彦さんの「森繁さんの長い影」を手にしていましたが、これには次の
ようにありです。「1955(昭和30)年は森繁にとって記念すべき年だ。日活の『警察日記』の人情警官役
がヒットし、関西弁が生かせる東宝の『夫婦善哉』のグータラ男役で、淡島千景ととも
に<シリアスな演技>の実力を世に認めさせた。この時、森繁は淡島に『おれを男にし
て欲しい』という手紙を送っている。この年の主演映画は十八本だが、『夫婦善哉』か
ら性格俳優としての存在感がぐっと増した。」
 この文庫本は、週刊文春の連載コラムをまとめたものでありますが、今回のものは、
タイトルにもあるとおり「森繁久弥」さんについてのものが何本かあり、小林信彦さん
の「日本の喜劇人」を読んでいなくて、森繁に興味のある人(そんな人いるかな)には、
絶対のおすすめ。
 これには森繁との共演をした淡島千景さんについての文章もあります。
 織田作之助が生誕百年と記しましたが、森繁久弥さんも織田作と同年の生まれであり
ました。織田作之助さんは、1947(昭和22)年1月10日に亡くなるのですが、その前年
の秋、森繁久弥さんは満州からの引き揚げしたところでありました。
 織田作之助さんが亡くなったときに、森繁さんはまったくの無名で、1949(昭和24)
年に新宿の小劇場「ムーラン・ルージュ」に出演するようになったとのことです。
 森繁さんが小林信彦さんの「カルチュア・ヒーロー」となったのは、「映画『街道一
の暴れん坊』の石松役や『夫婦善哉』の主役」を演じたことによってとあります。
そのときに、森繁さんは40代前半となっていたのですから、今となっては遅咲きといっ
てもいいくらいであります。
 それとくらべると、今回のテレビドラマ「夫婦善哉」の主人公たちはすこし若すぎは
しないか。それこそ、森繁なんてしらないよの世代であるようです。