このところ朝の個室で読んでいる文庫本にあったくだりです。
「適当な一冊を手にし、適当な文章を読み散かし、時間が過ぎて行きます。
原稿の締め切りさえなければ、そういう時間の過ごし方はとても幸福です。
長谷川四郎の文章は、そしてその流れに身をまかせることは、他の誰の文章
にもまして、そういう幸福を、いつも与えてくれます。」
上に引用したのは坪内祐三さんの「考える人 長谷川四郎」の冒頭の一部
となります。
坪内さんはなんとなく威張りんぼうというような感じを受けるのですが、
この長谷川四郎さんについての文章には、どうだというようなところがまる
でなくて、とってもいい子なのです。
それこそ長谷川四郎さんの本を読む楽しさ(もちろん長谷川さんが本を読ん
で楽しんでいることも)をどのように伝えるか、そして長谷川さんが本を読む
ことを通じて「考える人」であったかを伝えようとしてくれています。
この「考える人 長谷川四郎」は文庫本で14ページくらいのものですから、
それこそ繰り返し読むことが可能です。長谷川四郎さんの読み流してしまった
文章を、坪内さんに教えられて、再読するという楽しさもありです。
ほんと繰り返し読んでこそ、新しい発見もあるということで、坪内さんは、この
14ページほどの文章を書くのにあたって、どのくらい長谷川四郎さんのものを
読み込んだのかと思ってしまいました。
今年に亡くなった坪内さんについては、この年末になってもあちこちのブログ
で話題にのぼっているようですが、小生は長谷川四郎さんを読む坪内さんを追い
かけてみようと思いました。
坪内さんが長谷川さんに触れている文章には、どんなものがあったろうかです。
そんなことを思っていたら、本日に坪内祐三さんの新刊が届きました。