五月は本日でおしまいとなります。いろいろとありました五月でありまして、月の
初めには、このような月になるとは思ってもいませんでした。というのは、当方の昼
の時間での話でありますが、どうしても昼間の時間の影響を受けてしまいますね。
とはいうものの、本日は晦日でありまして、明日からは月が改まります。来月は
すこし良くなってほしいものです。
月の終わりから翌月の初めにかけて出版社のPR誌が届きます。当方が購読している
もののうちに「ちくま」「一冊の本」「波」が、すでに届きました。
「ちくま」では、これまでずっと楽しみにしてきた映画監督 鈴木則文さんの「東映
ゲリラ戦記」がいよいよ終わりに近づいてきたとあります。
鈴木監督が一番ゲリラらしく活動してきた時代の記述は済んでいますが、その昔の
活動屋の雰囲気をいまにつたえる連載であります。
「ちくま」6月号の鈴木監督が話題にしているのは「文学賞殺人事件 大いなる助走」
という自らの監督作品です。1989年1月に封切りとなったものですが、原作はもちろん
筒井康隆さんのものでして、当方は筒井作品はほとんどなじみがないのでありますが、
めずらしくこの作品は手にしておりました。
文学賞をめぐる悲喜劇(うらみつらみ)でありますが、鈴木監督がどのように映画
にしたのかは、知っておりませんが、ここでの経験を踏まえて、鈴木監督はつぎの
ように記しています。
「何年か前、私は映画監督の登竜門とでもいうべき『ぴあフィルムフェスティバル』の
審査委員長なるものを、ガラにもなくつとめたのであるが、多くの人々が共同し血眼に
なって作り上げた自主制作映画のなかかから受賞作を選び出す作業は本当に骨が折れた。
他人様の人生を左右してしまうのであるから、選者も相応の覚悟を持たなければなら
ない。落選者には、落選した理由、受賞者には受賞した理由を、明確に説明しなけらば
ならない。それができなければ、ブン殴られようが、ケリ飛ばされようが仕方のないこ
とである。幸い、私はブン殴られずに済んだが、選考、発表後疲れがドッと出て、
二、三ヵ月ほどクタクタになってしまった。」
先月号の「ちくま」の「なだいなだ」さんの文章に、大きな賞を受けた小説作品の
どこがどのようにいいのか、選考委員の人に説明をしてもらいたいとありましたが、
この鈴木監督の文章は、これに照応するものであります。