旅の空から

 松家仁之さんの「沈むフランシス」は、今回の旅行の携行本となりました。
先日に記しましたとおり、元の「新潮」から、その部分のみを分離して、
持ち運びやすくしたものです。さすがに、当方の環境では自炊しましても、
ディスプレイを通して読むのがたいへんでありますので、そのままで保存です。
 旅の空の下、自分の住んでいる町名がなんどかでてくる小説を楽しんでおり
ました。
 今回の旅行では、あれこれと予定をしていたことがありましたが、そこそこに
日程をこなすことができたのですが、書店めぐりだけが予定どおりにいきません
でした。
 たまたま案内していただいて立ち寄った谷中の古書店で、安い本があったら
購入するぞと思っているヴァレリーラルボーの「A・O・バルナブース全集」が
ありました。リアルな書店で、この本を手にしますのは、たしか25年以上も前に
都立大学前駅近くにありました古書店以来のことです。あの時も、自分の設定
単価をこえていて、購入することができなかったのでありますが、そのうち
どこかで安いものが見つかるであろうと思っているうちに、25年以上もたつので
あります。まあ一期一会というほどおおげさではありませんが、ちょっとくらい
でありましたら、すぐに購入したほうがよろしというのが、教訓です。
今回も適価でありまして、当方は懐具合がよろしくないせいもあり、購入を断念
したのであります。これはずっと縁がなくて終わるのかなと、ちらっと思いま
した。
 その古書店(古書 信天翁)さんには、「港の人」の新刊書がありまして、
四月と十月文庫のなかから「えびな書店店主の記」を求めまして、これを地下鉄
利用などの時に開いておりました。「港の人」は、このブログをはじめた頃に、
ここからでました野村一彦さんの本を話題としたことがありましたが、あの時と
くらべますと、「港の人」の最近はぐっと存在感をましています。先日の朝日新
聞夕刊を見ておりましたら、この版元の代表が写真入りででていましたです。