最近手にしている本 3

 最近手にしている本としましたが、本日話題にしますのは、昨日にTUTATYA系の
リサイクル本屋で購入したものであります。いずれも105円となっていましたが、この
TUTAYA系は販売しているほとんどすべての本をコンピュータ登録しているらしく、
レシートには本のタイトルが打ち出されることになります。結果として105円となる本
にそこまでやるかであります。
 昨日に入手した本は、どこから降って湧いてきたかと思われる三冊でありました。

ぼくのピクニック 1981.7‐1988.3

ぼくのピクニック 1981.7‐1988.3

 田村隆一さんとはなじみがあまりないので、このような本があるのは承知しており
ませんでした。1988(昭和63)年に刊行された本ですが、いかにもこの時代の雰囲気
がありまして、当方の好きな本のたたずまいとなっています。(アマゾンの中古本に
は、これの書影がありました。)
 ソフトな表紙にビニールカバーをかけてあって、これなら書店でカバーをかけて
もらわなくてもよしというものです。かっては、こういうのは珍しくなかったので
ありますが、最近はあまりはやらないようです。
 ぱらぱらとページをめくっていましたら、次のようなくだりがありました。
早川書房はまだ手工業時代で、社長以下五、六人しかいなかった。みんな下駄ばき
で、おしゃれのイトー君だけが靴をはいていた。となりは赤提灯の飲み屋で、原稿を
とどけると、その足でノレンをサッと分けて酒を飲んだものだ。ある日、早川書房
いってみると、戦前からの文学仲間だった堀田善衛が、彼もまた探偵小説を訳し、
自分のゲラに手をいれているではないか。芥川賞の『広場の孤独』を書いていたとき
だったと思う。その夜は、赤のれんで、二人で日本酒をガブガブ飲んだ。」
 この本のもとは、「年金と住宅」というものに1981年から88年にかけて連載された
ものだそうです。刊行の時、田村隆一さんは65歳とあります。
 読みやすくて楽しい。ページをかせぐためにはとてもよろしい。
105円なら、すぐに買いましょう。